新田佳浩、金メダルへの知られざる戦い 〜BS朝日「勝負の瞬間」、27日放送〜

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 当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が6月27日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各スポーツから一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回は3月のバンクーバーパラリンピックで2つの金メダルを獲得したノルディックスキー・新田佳浩選手をお招きします。
(写真:金メダルは1個600グラム。しかし、それ以上の重みを感じる)
 当サイトでは番組に先駆けて、新田選手とのインタビューの一部を紹介します。

二宮: 2つの金メダルおめでとうございます。まずはクラシック10キロの金メダルから。これはやはり狙って獲ったという感じでしょうか?
新田: そうですね。1年前から(本番の)3月18日に自分の調子を合わせていくことを考えていました。今シーズンに入ってからは、だいたい2週間で調子を上げて、2週間で落としていくというバイオリズムでずっとやっていたのですが、それを3月18日から逆算して考えていたんです、だから、本当に10キロは自分自身、狙って獲った金メダルですね。

二宮: バンクーバーは太平洋沿岸ですから、雪質が日本に近いんじゃないかという意見もありました。実際に滑られてみていかがでしたか?
新田: はい。日本に近い雪質でした。その意味では今回、自分自身にとって滑りやすいコンディションが整っていたなと感じますね。

二宮: 日本に近いということは、要するに湿気を含んだ雪だったと? サラサラしていない状態だったということでしょうか?
新田: 雨が降ったりして、すごく雪が重かったです。しかも雪が溶けないように、朝、塩を撒いていました。それでアイスバーンにしていたので、ヨーロッパの選手たちは苦労したんじゃないかなと思います。ヨーロッパだと天然の雪はパウダーに近いですから。

二宮: アイスバーンは滑りやすい?
新田: でも技術がないと難しい。なので日本人特有の細かい技術がより生きるコースだったと思います。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 番組では、この後、実際にパラリンピックで使用したスキー板を新田選手に紹介していただきます。板の裏面に塗られたワックス、抵抗を軽減させるための細かな溝……2メートル2センチの板の中には1秒でも速く滑るための秘密が満載です。特にワックスは、刻一刻と変わる気象や当日の雪質、コース特徴、考えるレース展開などに応じ、専門の担当者(ワックスマン)が何百種類もの中からベストのものを選び、板に塗っていきます。
(写真:カーボン製の板は両方合わせて約1キロ。こちらは見た目以上に軽い)

 ワックスのかけ方次第で、大きくタイムに影響が出るため、選手にとってワックスマンは運命共同体とも呼べる存在。もちろん、他の選手がどんなワックスを使っているかは重要な情報です。“機密”が漏れないよう激しい駆け引きも繰り広げられています。本人から語られる戦いの裏側に、私たちの持つ障害者スポーツのイメージは大きく変わるはずです。

 3歳の時に事故で左前腕を失った新田選手を、両親は決して障害者として扱いませんでした。「あいつ、左手がねぇ」。心ない言葉を投げかける他校の生徒に対して、反論してくれる友達もいました。そんな環境の中、他の同級生とともにスポーツに取り組んでいた新田選手に運命の出会いが訪れます。それが障害者スポーツ転向へのきっかけとなりました。17歳で初出場した長野パラリンピックから転倒に泣いたトリノ大会まで、波乱万丈の競技人生を振り返ります。

「日本ではパラリンピック、障害者スポーツをスポーツとして見ていないところを感じる」
 金メダルを獲得した今、新田選手は障害者スポーツの未来に向けて自らの考えを発信しようとしています。障害を持つ子どもたちへの普及が進んでいない現実、パラリンピックレベルの選手でさえ、競技を続けるには自腹を切らざるを得ない現実、ナショナルトレーニングセンターを容易に利用できない現実……。それらはこの国の障害者に対する位置づけ、スポーツのとらえ方に対して、大きな問いを投げかけています。菅直人首相が「最小不幸社会」をテーマに掲げる今、「誰もが幸せに生きられる社会とは何か」「人の幸せにスポーツはどんな役割を果たしうるのか」といったことも考えさせられる55分間です。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。7月にはロンドン五輪でメダル獲得を目指す男子やり投げの村上幸史選手が登場。その後も世界を疾走するレーサーなどを番組にお招きする予定です。どうぞお楽しみに!

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