当HP編集長・二宮清純が出演するニッポン放送ラジオのレギュラー番組「ファンケルプレゼンツ 二宮清純のスポーツレジェンド」(月曜19:30〜)が現在、好評放送中です。この番組ではスポーツに情熱をかけているアスリートの方々をゲストにお招きし、インタビューを展開します。今月は女子野球界のヒロイン、茨城ゴールデンゴールズの片岡安祐美選手が登場。野球に対する情熱から、萩本欽一監督とのエピソードまで、たっぷりと語っていただきます。
(写真:153センチと小柄ながら「夢ある限り努力は無限」とプロ野球を目指す気持ちは誰にも負けない)
 当サイトでは6月28日に放送された番組の中からインタビューの一部を紹介します。

二宮: 片岡さんは1986年生まれ。いわゆるダルビッシュ世代ですね。
片岡: そうなんですよね。もう高校の時から「ダル世代、ダル世代」って言われてましたね。

二宮: 西武の涌井(秀章)選手も同級生ですね。
片岡: 2人が甲子園に出てきた時は、「なんで、こんな違うんだろう」って高校の野球部のみんなと話してました。

二宮: 片岡さんはお父さんが元高校球児で、名門・熊本工業のご出身だそうですね。
片岡: はい。後にホームランをフェンスによじ登ってキャッチしてアメリカの野球殿堂入りされた山森(雅文、元阪急)さんが同級生です。私もときどき山森さんに教わったことがあります。

二宮: ということはお父さんは僕と歳が一緒ですね。なんかイヤになっちゃいますよ……(苦笑)。それではお父さんの影響で野球を始めたと?
片岡: でも、最初ははっきり言ってプロ野球が嫌いだったんですよ。やはり父が野球好きなので、夏休みのテレビは昼は高校野球、夜はプロ野球がずっとついていたんですけど、プロ野球は中継が長いし、ドラえもんとか観たい番組が観られない。しかも父がジャイアンツファンだから、負けると機嫌が悪くなる。
 ただ、昼間観ていた甲子園はとてもキラキラしていて、カッコよく見えたんです。「私もここでプレーしたいな」。そう思ったのが野球を始めたきっかけです。

二宮: 中学校では軟式で男子に交じって1年生からベンチ入り。3年生の大会ではセカンドのレギュラーとして県大会ベスト8に貢献。女子の日本代表には当時の最年少で合格。輝かしい球歴ですね。お父さんは野球に対して厳しかったそうですね?
片岡: 最初、私が野球をやるって言った時には、父も母も大反対だったんです。母なんて「女の子なのに!」って口利いてくれなくなるぐらい。父も「野球はそんなに甘くない」って反対していました。でも私は一度言ったらきかない性格なので、「どうしてもやる」と言って父を説得しました。それから父が仕事休みの日にはマンツーマンで練習が始まったんです。最初は“女の子投げ”を直すところから始まって、次は走り込み。お風呂に入っても湯船の中でグーパーを繰り返して握力を鍛えました。まぁ、野球漬けの毎日でしたね。小学校時代は他の選手の3倍は練習していたと思います。

二宮: つまりお父さんが「野球をやれ!」と言ってスパルタ指導したのではなく、自分から望んで厳しい練習をしていたと?
片岡: はい。「やるんだったら、とことんやりなさい。途中で投げ出すことは許さないよ」と言われていましたから。もう小学校、中学校時代は毎日、必死でした。

二宮: お父さんの指導は星一徹並みでしたか?
片岡: どうですかね? あまり言うと父が怒っちゃうんで(笑)。ただ、軟式のボールですけど、至近距離でぶつけられたことはありました。

二宮: ボールをぶつけられた!? なぜですか?
片岡: 野球始めてすぐの頃、まずストライクゾーンを覚えなきゃいけないと、1つ上の先輩ピッチャーの方に付き合っていただいて、ボールの見極めの練習をしていたんです。「これはボール」「これは入ってる」「今のはギリギリだぞ」と。ところが、私がど真ん中を見逃しちゃったんですよね。そしたら、後ろで審判役をやっていた父が「ど真ん中を見逃すなんて!」って怒って、持っていた軟式ボールを顔面に投げつけられました。

二宮: 女の子なのに顔に当たったら大変なことになりますよ。
片岡: 鼻の頭にガーンと当たって、鼻血ブーになりました(苦笑)。それを見た母は父にめちゃくちゃキレていましたね。「顔だけはやめてって言ったでしょ!」って。そして、泣いている私も「自分でやるって言ったんだから泣くな! 顔洗ってこい!」とすごく叱られました。

二宮: どこの家庭もお母さんが怒った時が、実は一番怖い……。
片岡: 娘にボールを当てる父と、当てられた娘も叱り飛ばす母。周りはビックリしていたと思いますよ。

 次回以降(5日、12日放送)は、欽ちゃん球団に入ったいきさつ、今年スタートした女子プロ野球や、米独立リーグに所属する吉田えり選手に対する思いも伺います。収録後も「どうしたらプロ野球選手になれますか」と真剣に質問をしていた片岡選手。彼女の野球に対する一途さが伝わる放送です。どうぞ、お楽しみに!