12月4日付の「日刊スポーツ」紙に面白い記事が出ていた。

「ターニングポイント」という連載の第4回。千葉ロッテは、今季、なぜ失速したか、というテーマである。
 なにしろ、ロッテは前半戦を首位で折り返した。西村徳文監督には、手腕があるのだな、とひそかに感心していたものだ。ところが、8月末から9連敗するなど、後半に大失速をして、最終的には5位でシーズンを終えた。どこかのチームと似ていますね。

 で、ロッテのターニングポイントは8月26日の福岡ソフトバンク戦にあったのだそうな。同点で迎えた9回裏2死、西村監督は、3時間30分ルールによる引き分けを狙って、打者里崎智也に時間稼ぎを命じたというのだ。これに対して、選手の間には「勝ちにいくべき」という不満が残ったという。

 ね、なかなかいい記事でしょう。
 わがカープにも、今季、このような意味で「ターニングポイント」と名付けたくなるようなシーンはいくつもあった。

 典型的な例は、あのいきなりクローザーにデニス・サファテではなくキャム・ミコライオを起用した試合(4月28日、対東京ヤクルト)である。

 9回のマウンドに立ったミコライオが、固い、戸惑いの表情を浮かべていたのをよく覚えている。結果は、よもやの救援失敗。その後、結局、サファテは調子を上げられないまま、今季限りの退団(埼玉西武への移籍が濃厚)となってしまったことも記憶に新しい。

 それにしても、なぜサファテはクビなのだろう。そんなにすばらしい外国人クローザーと契約するアテでもあるのだろうか。

 いや、ミコライオでいいではないか、というご意見には賛同しかねる。
 たしかにミコライオは球が速い。実はチェンジアップにも見るべきものがある。しかし、長身のわりには、投げるときのヒジの位置がやや低い。その分、ボールに角度がつかない。サファテは真上から投げ下ろす分、ボールに角度がある。

 ミコライオは、おそらく絶対的なクローザーにはなれない。それは今村猛も同様だ。今季の8月の状態を見る限り、今村はやはり疲れがたまってくると球威がおちる。真のクローザーとは、バテても藤川球児や昨季のサファテのように、なんとか球威を維持するものなのだが。

 だから私はサファテ再契約をこのコーナーで主張したのだ。クローザー問題は、来季、カープの抱える大きな課題になるだろう。

(このコーナーは二宮清純と交代で毎週木曜に更新します)
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