日本ラグビー協会は25日、日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が、9月に開幕するW杯イングランド大会終了後に退任することを発表した。契約は12月末までだったが、11月1日付での退任となる。ジョーンズHCはコメントの中で「新しいチャレンジをする」と触れたのみで退任理由を明らかにしていないが、スーパーラグビーのストマーズ(南アフリカ)から監督就任の要請があると報じられている。都内で会見した協会の坂本典幸専務理事は「本人の意志が固いということで、承認をすることになった」と説明した。
(写真:退任が決まり、「今年のラグビーW杯を集大成にする」とコメントを発表したジョーンズHC)
 W杯本番まで1カ月を切った時点で異例の発表だ。
 坂本専務理事によると、ジョーンズHCから退任の意向を告げられたのは20日。24日に開かれた協会の理事会では「いろいろな意見があった」が、最終的には本人の意思を尊重し、退任を認めた。

 この時期に公表したことについて、坂本理事は「本来であればワールドカップが終わってからが筋」としながら、「お互いに相談して今日に決まった」とジョーンズHCの意向が強かったことをにじませた。

 オーストラリア人のジョーンズHCは、2003年のW杯では母国代表を準優勝に導き、07年には南アフリカ代表のアドバイザーとして優勝に貢献した世界的な名指導者だ。日本ではサントリーのGM兼監督として日本選手権連覇を達成し、12年4月から代表HCを務めていた。

「エディーHCになって日本代表は素晴らしい躍進を遂げた」と坂本専務理事も認める通り、その手腕はジャパンを率いてからも発揮されていた。13年には強豪ウェールズ代表に初めて勝利。同年11月からは日本歴代最多となるテストマッチ11連勝を飾った。世界ランキングも一時、史上最高の9位に上昇(現在は15位)。W杯ではベスト8を目標に掲げ、チームは総仕上げの時期に入っている。
 
 坂本専務理事は、このタイミングでの退任発表が代表に与える影響について、「ないとは言い切れない」と語った。ジョーンズHCは、来年からスーパーラグビーに参戦する日本チームを編成する「ラグビー・オブ・ディレクター」も合わせて退任する。今後の代表はもちろん、2019年のW杯開催へ強化を進める日本ラグビー界にとって、世界的にも知られた名将の“流出”は大きな痛手だ。

「日本代表は、より優れている指導者を得て、2019年のラグビーW杯へ向けて、もっと進化を続けると思う」
 ジョーンズHCは、そう日本の未来を期待するコメントを残した。だが、エディー・ジャパンの集大成となるイングランドでの本番を前に、協会は後任探しも含めて、早急な対応を迫られることになる。