2018FIFAワールドカップロシアのアジア2次予選(兼アジアカップ2019予選)が3日、埼玉スタジアムで行われ、日本代表(FIFAランキング58位)はカンボジア代表(同180位)に3−0で勝利した。立ち上がりから攻勢をみせた日本は前半28分、MF本田圭佑のミドルシュートで先制。後半に入っても一方的な展開の中、DF吉田麻也、MF香川真司が追加点をあげ、リードを広げた。

 対アジア、5試合ぶり白星(埼玉)
日本代表 3−0 カンボジア代表
【得点】
[日本] 本田圭佑(28分)、吉田麻也(50分)、香川真司(61分)
 まるでハーフコートゲームのような90分だった。日本は圧倒的にボールを支配し、カンボジアはゴール前を固める展開。「3点しか獲っていないことは満足していない」。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が振り返ったように、3−0では物足りなさが残る試合だった。

 チャンスは幾度となく訪れた。7分にはCKを得て、混戦からDF森重真人がバックヘッドでゴールを狙う。相手DFがこのボールを手を使ってかきだしたが、主審はキーパーチャージの判定。10分には右サイドから香川がGKと1対1の状況になりかけて、あわやというシーンをつくる。

 さらに19分、FW武藤嘉紀が左サイドから切りこみ、ゴール前のFW岡崎慎司へパスを送るも、シュートはゴール右に外れる。22分には本田の右からのクロスに吉田が飛び込んで頭を合わせたが、枠を捉えきれなかった。

 完全な日本ペースながら、ゴールが生まれず、じれったい状況を打破したのが、日本のエースだ。28分、中央でMF山口蛍が右サイドでフリーの本田へ。背番号4は思いきって左足を振り抜くと、無回転の軌道がゴールを襲う。「入るとは思っていなかった」というシュートは、相手GKがパンチングしきれず、ゴールネット上部に突き刺さった。

 ゴールを決めた本田も、見守っていたハリルホジッチ監督も喜びより、ホッとした表情だ。日本は喉から手が出るほど欲しかった先制点をあげる。

 その後も日本はDF酒井宏樹が右サイドから何度もクロスをあげて、好機を演出。だが、香川や武藤のシュートはゴールネットを揺らせない。40分には、香川、岡崎が連続シュートを放つも、相手GKの好守に阻まれた。

 なおも43分には武藤が抜け出して、香川にラストパスを供給するが、うまくヒットさせられず、得点には至らない。日本は22本ものシュートを打ちながら、前半は1点のみにとどまった。

 後半も立ち上がりに酒井宏のクロスに武藤がヘディングシュートをみせるなど、日本はどんどんゴール前にボールを運ぶ。待望の追加点が生まれたのは後半5分だ。

 相手PA内でボールをつなぐ間に、スルスルと最終ラインから上がった吉田が右足を一閃。「ミーティングでもミドルシュートを打つように言われていた」という吉田のトライに引いて守るカンボジアの守備陣は対応しきれず、ゴール左隅に吸い込まれた。

 さらに16分、山口、本田とボールが渡り、ゴール前の岡崎へ。振り向きざまのシュートがこぼれたところへ香川が詰めていた。冷静に右足で押しこんで3−0。日本は守りでヒヤリとするシーンは皆無で、常に攻撃を継続する。

 ただ、ほぼ試合が決まった状態でも、さらなるゴールラッシュとならなかった。途中出場のFW宇佐美貴史をはじめ、積極的にシュートをみせるが、雨の中、詰めかけた54,716人を沸かせる瞬間はやってこない。最終的には34本のシュートを浴びせて3得点。決定力不足を解消したとは言いきれない内容に終わった。

「求められているものからすれば、全然」
 試合後の本田に笑顔はなかった。
「チャンスのつくり方がうまくない。決定的な場面はそんなになかった。最終的に相手を崩せていない。試合の中で緩急を使って切り替えていかないといけない」

 ゴールを決めた香川も「最後の精度が悪かった。相手もペナルティーエリアの中に10人くらいいて難しかったが、それをどうやって崩すかが課題」と表情を緩めず、言った。ハリルホジッチ監督は「センタリングがかなりの回数が上がったが、しっかりとしたポジションをとれていなかった」と連係面で修正の必要性を口にした。

 ハリルジャパンはイラン・テヘランに渡り、8日にアフガニスタン代表(ランキング130位)と2次予選の3戦目を戦う。「アフガニスタンもおそらく引いてくる。同じ状況になる」と指揮官は予想する。警戒して守る相手から、いかにゴールをこじ開けるか。突きつけられたテーマへの回答が、この先も求められていく。