17日、福岡ソフトバンクが埼玉西武に5−3で勝ち、2年連続17度目(2リーグ制以降)の優勝を決めた。優勝マジック「1」のソフトバンクは、初回に内川聖一のタイムリーヒットで先制。4回裏に松田宣浩と長谷川勇也の2者連続ソロホームランでリードを広げる。先発の武田翔太は7回1失点の好投。6回裏に2点を追加したソフトバンクは、8回表に2点を返されたものの、9回を守護神デニス・サファテが無失点で締めくくった。ソフトバンクは10月14日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで、CSファーストステージ勝者と日本シリーズ進出を懸けて戦う。

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 本拠地ヤフオクドームで背番号81をつけた新人監督は9度、宙を舞った。前任の秋山幸二と同じ背番号を引き継いだ工藤監督は、リーグ優勝も昨年から繋いで見せた。現役時代は“優勝請負人”と言われた男は、監督としても勝負強さを発揮。交流戦で勢いに乗り、6月19日以降は首位を一度も明け渡すことなく独走した。9月17日での優勝決定は1965年の南海、95年のオリックスの9月19日を上回るリーグ最速記録だった。

 17日現在でチームの成績は85勝38敗4分けで、2位の北海道日本ハムには14.5ものゲーム差をつけた。チームの得点数、失点数、本塁打、打率、防御率はリーグNo.1を誇り、ぶっち切りのリーグ制覇だった。

「ウチの打線は次につないでという意識をすごく持ってくれた。点がほしい時にはホームランも打ってくれる頼もしい選手に恵まれた」
「先発ピッチャーが長く投げてくれて、後ろの3人が休める時もあった。困ったときには3人を使って、しっかり勝つことができました。森(唯斗)選手、五十嵐(亮太)選手、サファテ選手の3人がいたから、(他の)ピッチャーが安心して投げられました」

 何度も選手たちを称えた工藤監督は、4番でキャプテンという重責を担った内川について言及した。「つらいところを背負い込んでくれた。優勝で彼の想いが救われたかなと思う」。内川の苦心は、優勝決定直前から目に涙を浮かべていたことからもうかがい知れる。7年連続で打率3割以上をマークしているヒットメーカーが、今季は打率2割8分5厘にとどまっているほどだ。優勝インタビューで工藤監督は「まだまだクライマックスも日本シリーズも頑張るぞ!」と檄を飛ばした。

 99年オフにダイエー(当時)を退団して以来、ホークスに対して「いつか恩返しをしたい」との思いを抱いていた工藤監督。6年間で3度のリーグ優勝、2度の日本一に導いた前任者の存在や、豊富な戦力はむしろ大きな重圧となりかねない。そんな新人監督を支えたのはファンの存在だ。「1年目の僕を『頑張れよ』と励ましてくれた。その言葉が僕の勇気となった」。これまでに積み上げたチームの貯金は47である。残り16試合でいくつまで増やせるのか。

(文/杉浦泰介)