現地時間23日、ラグビーW杯イングランド大会4日目が行われ、予選プールBの日本代表(世界ランキング11位)は、スコットランド代表(同12位)と対戦した。前半はスコットランドが4本のPGを決められ、7−12と5点のビハインドで終了。後半での逆転を狙ったが、前がかりになる日本のスキを突かれ、5本のトライを許した。10−45で敗れ、連勝はならなかった。日本の通算成績は1勝1敗で勝ち点4。次節は10月3日にサモア代表(世界ランキング10位)と対戦する。
 奇跡の再現はならなかった。前半は接戦を演じたが、後半に入るとスコットランドに力負けした。

 歴史的ジャイアントキリングから中3日。日本は南アフリカ戦から6人スターティングメンバーを入れ替え臨んだ。しかし、疲れのせいか、風にも苦しみ、ハンドリングエラーが目立つ。自陣で反則を犯すと、SHグレイグ・レイドロー(グロスター)が2つのPGを決められ、0−6とリードを許した。

 14分、ペナルティでキックを選択した日本はFB五郎丸歩(ヤマハ発動機)が一気に陣地を打開する。右サイド深い位置で得たラインアウトからドライビングモールでインゴールへと雪崩れ込む。最後はアマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)がトライ。1点差とすると、五郎丸がコンバージョンを着実に決め、7−6と逆転に成功した。

 しかし、18分、20分とレイドローにPGを決められ、再びリードを許す。さらに23分には、松島幸太朗(サントリー)にシンビン(10分間の一時退場)を命じられ、1人少ない状態に追い込まれる。このピンチは何とか無失点で凌いだ。

 前半終了間際、スコットランドに攻め込まれ、苦しい展開が続く。最後は左サイドを攻め込まれ、飛ばしパスから大外のWTBがボールをキャッチ。インゴールまで数メートルと、ピンチを迎える。ここで五郎丸が横からタックルを突き刺し、サイドラインへと弾き飛ばした。失点のピンチを防ぎ、5点のビハインドで試合を折り返した。後半勝負の日本にとっては、想定内の前半戦だったはずだ。

 後半5分、前半から強引な突破でスコットランドの脅威になっていたマフィが体を張って、ラインブレイク。しかし、その代償としてプレー続行不可能となり、ピッチを去ることとなった。そこで得たペナルティはショット(PGを狙う)を選択し、五郎丸が決めて10−12と2点差に迫った。

 しかし、以降はスコットランドのバックス陣にラインを切り裂かれる展開が目立つようになる。8分には右サイドに展開され、自陣を攻め込まれるとトライを許す。10−17と1トライ1ゴール分の点差を広げられた。

 日本は16分にもバックスの突破を許し、トライを奪われる。すると24分。敵陣深い位置まで攻め込んだ日本は、左サイドにボールを細かく展開した。CTB田村優(NEC)からCTBマレ・サウ(ヤマハ発動機)へのパスをインターセプトされる。そのままパスカットされた相手のウイングに約80メートルを独走され、トライを許す。コンバージョンも決められ、10−29となった。

 日本は29分、34分にもトライを許すなど、その差は35点にまで開いた。日本も意地を見せ、終了間際に敵陣に攻め込み、トライを狙った。しかし、インゴールギリギリまでボールを運ぶも、最後はノックオン。ノーサイドの笛が鳴り、10−45で敗れた。

「60分まで競っていた試合。相手のプレッシャーと細かいミスで流れが変わった」とキャプテンのFLリーチ・マイケル(東芝)が語ったように、競った展開で堪え切れなかった。それ以上に南アフリカ戦ではほとんど見られなかったミスは序盤から目についた。スコットランドのバックス陣にトライを量産されたのに対し、日本のバックス陣はゼロ。その差も少し気になるところだが、ラインアウトからのドライビングモールは十分に通用することを証明した。

 下を向いているヒマはない。悲願の決勝トーナメント進出は、10日後のサモア戦にかかっている。

(文/杉浦泰介)