44クラブに来季ライセンスを交付 山口はJ2ライセンス初申請で取得

(写真:会見でライセンス交付結果について説明する青影クラブライセンスマネージャー)
申請を行った44クラブのうち、37クラブがJ1ライセンス、7クラブがJ2ライセンスの交付の判定を受けた。今回のライセンス判定の中で、昨年までの基準にさらにつけ加えられた点が3つある。それはトレーニング施設、天然芝が1ミリ以上あるピッチ、状況を整えたクラブハウス――この3項目が新たに判定の対象に加わった点だ。
この煽りを受け、今年はJ1ライセンスを取得していたカマタマーレ讃岐とザスパクサツ群馬はJ2クラブライセンスの交付となった。仮にJ1昇格プレーオフ圏内に入っても、プレーオフ参加資格はない。この判定の導入は2年前から決定していたが、両クラブともトレーニング施設の改善がみられなかったため、格下げとなってしまった。
一方で「金沢はトレーニング施設の改修によりJ1基準を充足し、FC岐阜はスタジアムおよびトレーニング施設の改修によりJ1基準を充足した」と金沢と岐阜のJ1クラブライセンス取得に至った経緯を青影宜典クラブライセンスマネージャーは説明した。
クラブライセンスが交付されたものの、改善が必要なクラブはある。13年度から2期連続赤字を計上したサガン鳥栖は是正通達を受ける。是正通達とは、「クラブ経営上是正すべき点があるとFIBが判断したクラブに対し、是正措置を通達する」「FIBによる制裁またはクラブライセンス不交付と強制力を行使する前に、クラブの自治力によって自ら経営を改善し、債務超過および3期連続赤字にならないよう、強い指導を行う」とされている。また是正通達対象クラブが4から1クラブに減ったことについて青影クラブライセンスマネージャーは「クラブライセンス制度開始以降のクラブへの指導によって、予算の策定および進捗管理の能力が向上した」と手応えを口にした。
この他にも是正通達まではいかないまでも、クラブライセンスの判定結果には直接は関係ないが、クラブに注意喚起を行っていく事項を通知するという“特記事項”に当てはまるクラブは数多くある。特記事項は主に6つだ。
(1)J2昇格条件
競技成績に関わらず、Jリーグ規約第17条第2項の(来期広告料収入1億円以上、今季J3リーグ戦1試合平均入場者数3000人以上)を充足しなければJ2昇格はできない。
該当クラブ:FC町田ゼルビア、AC長野パルセイロ、富山、山口
(2)財務
Jリーグが予算進捗・編成等につき随時ヒアリングを行う。
該当クラブ:コンサドーレ札幌、横浜FC、湘南ベルマーレ、山口、愛媛FC、V・ファーレン長崎
(3)スタジアム
2016シーズン開幕前日までにスタジアムの改修工事が完了しない場合、もしくは新設のスタジアムの供用が開始されない場合には、クラブライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある。
該当クラブ:岐阜、ガンバ大阪、山口
(4)トレーニング施設
2016年1月31日までにJ1基準のトレーニング施設の供用が開始されない場合には、クラブライセンスが取消されるか、制裁が科される可能性がある。
該当クラブは栃木SC、横浜F・マリノス、松本山雅FC、金沢、岐阜、愛媛
(5)トイレ制裁免除
スタジアムのトイレの数について60%ルールを理由に制裁免除となっているが、来シーズン使用予定のスタジアムは本来基準未充分である。
該当クラブ:栃木、FC東京、東京ヴェルディ、横浜FM、横浜FC、湘南、ヴァンフォーレ甲府、松本、アルビレックス新潟、富山、岐阜、ヴィッセル神戸、山口、徳島ヴォルティス、アビスパ福岡、長崎、ロアッソ熊本
(6)制裁免除
スタジアムのトイレの数、屋根のカバー率についてスタジアム新設を理由に制裁免除となっているが、来シーズン使用予定のスタジアムは本来基準未充分である。
該当クラブ:京都サンガFC、北九州
財務面もさることながら、スタジアムのトイレ数や練習施設の確保が課題にあがっているクラブが多いことが一目でわかる。このクラブライセンス制度が導入されてから4年間で改善が進んでいるという声もあるが、依然として綱渡りの状態のクラブが目立つ。日本サッカーの発展のために設けられた制度だが、現状はこの制度により苦しんでいるクラブが多い。一日でも早くクラブの施設、財政が安定し、サポーターがクラブの存続危機を心配しなくてすむ日がきてほしい。
【クラブライセンス交付結果】
J1クラブライセンス=札幌、仙台、山形、鹿島、栃木、浦和、大宮、千葉、柏、FC東京、東京V、川崎、横浜FM、横浜FC、湘南、甲府、松本、新潟、富山、金沢、清水、磐田、名古屋、岐阜、京都、G大阪、C大阪、神戸、岡山、広島、徳島、愛媛、福岡、鳥栖、長崎、熊本、大分
J2クラブライセンス=水戸、群馬、町田、長野、山口、讃岐、北九州
(文・写真/大木雄貴)