当コーナーでも、何度か編集長の鍋奉行ぶりが紹介されていますが、近頃、冷え込んできたこともあり、弊社事務所では鍋をする機会が、ますます多くなってきました。編集長プロデュースの鍋は美味しく、さらには食事代を浮かせられるので、私としては一石二鳥の感があります。

 12月のある日のことです。この日の買い出しには、じゃんけんで敗れたIさんが行くことになりました。

 数十分後、帰ってきた買い物袋には、編集長が注文した食材とは別のモノが入っていました。「いつもと趣向を変えてみようと思いまして……」と、頭をかくIさん。スタッフからはブーイングの声も聞こえてきました。

 私は、こだわりの鍋の調理を邪魔されたことで、編集長のカミナリが落ちやしないか、と内心ヒヤヒヤしました。ところが編集中は鬼の顔になるどころか、仏様のように穏やかな表情のままです。とはいえ、スタンドプレーをしたことには変わりません。どことなく微妙な空気も漂っており、Iさんも後悔した様子で、バツが悪そうな表情を浮かべていました。

 と、ここで編集長が一言。
「I、これで美味しくなかったら給料から天引きだな」
 Iさんはズルッとずっこけ、一気に場が和みました。

 後でこっそり聞いてみると、その場を治めるための冗談で、実際には“経済制裁”はなかったそうです。鍋奉行の“大岡裁き”ならぬ“二宮裁き”。鍋の味と共にお見事でした。

(スタッフT.S)
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