サッカーではしばしば、「タイミング」がキーワードに上がります。パス、動き出し、選手交代……。多くの行動にタイミングという要素が存在し、それが的確ならば大きな効果につながる。逆にタイミングを外せば、その行動がマイナスに働く可能性もあります。

 会議等での発言、電話を入れる時間帯など、日々の生活でもタイミングは重要です。今回は、僕自身のタイミングの悪さをお話しいたします。

 ある日、編集長が「今日は鍋をやろう」とおっしゃいました。編集長プロデュースの鍋は海鮮、ちゃんこ、水炊きとバリエーションが豊富で、美味です。私もいつもなら編集長の提案を聞いて「やりましょう!」と喜んでいます。

 しかし、その時ばかりは「しまった……」と後悔の念を抱きました。僕は直前に外へ早目の夕食を食べに行き、大盛りの白飯を3杯おかわりしていたのです。沈み込む僕を見て、編集長が言いました。

「どうした? 体調でも悪いのか?」
「いえ、実はさっき夕食を食べてしまいまして……」
「もう食べたのか!?」
「すいません。我慢できませんでした」

「仕方がないなぁ」と言って、編集長は他のスタッフとどんな鍋にするかを相談し始めました。その後に出来上がった鍋は、昆布のだしが香る「ぶりしゃぶ」でした。お腹いっぱいの僕は、香りだけを楽しむしかなく、「もう、あんな悔しい思いはしない!」と誓ったのでした。

 しかし、人間、そう簡単には変わりません。今週月曜日のことです。僕は取材から帰る途中、空腹を我慢できず、コンビニでサラダ、幕の内弁当、デザートを買いました。事務所に付き、スタッフルームへ入ると、編集長が振り向くなり、私に言いました。
「お、ちょうどいいところに帰ってきたな。今日は鍋だぞ!」

 ドシャっ。僕は弁当等が入った袋を床に落としてしまいました……。

(Y.S.)
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