今週は、編集長の身に不幸なことが起りました。あんな編集長の姿を見るのは初めてのことです。

 週の始めの月曜日、編集長が顔を曇らせてスタッフルームに現れました。
「はい、おはよう」と元気に言いながらも、編集長の様子がいつもと違います。

「編集長、足どうされたんですか!?」
「昨日の夜から足の指が痛くて、病院に行ったら折れてたんだよ… 全治4週間の亀裂骨折だって…」
「え~~!?週末に何があったんですか?」
「いやぁ、何処かでぶつけたんだと思うんだけど、全然覚えがないんだよ…」
「足の指が折れるほどなのに覚えてないんですか!?」
「そうなんだよ…」
「幸い、今週は出張がありませんから、出来るだけ足に負担をかけず安静にしていて下さいね!」
「そうだね、酒も飲めないし…」
そう言い残し、足を固定する為にテーピングでグルグル巻きにされた足を引きずりながら、書斎に入って行く編集長の後ろ姿は、なんとも痛々しい限りです。

 この日は一日、足の痛みを少しでも和らげるためか、氷で足を冷やしながら執筆に集中していらっしゃいました。
それにしても、こんな時に出張が入っていなかったのは、不幸中の幸いです。また、多忙な毎日を送る編集長へ神様が与えてくれた休暇なのかもしれないと感じずにはいられませんでした。

 ところが翌日、またしても編集長に不運が襲いかかります。弊社が入っているビルのエレベーターの点検の日に当たってしまいました。
エレベーターの点検は、数か月に一度にもかかわらずです。もちろん、その日はエレベーターは使用できません。
弊社がある8階までは、別棟のエレベーターで7階まで上がり、そこから迷路のような通路と階段を上らなくてはならないのです。
健康な状態の人でも、少し息が切れるくらいの階段なのです。

「エレベーター使えないんだよ… ちょっと、誰か7階まで迎えに来てくれ」
案の定、編集長から電話がかかってまいりましたので、7階まで迎えに行き、編集長の重いカバンを預かります。
編集長は、手すりにつかまり、骨折している足をかばいながら、いつもの倍の時間をかけ1段1段ゆっくりと上がります。

「編集長、朝から不運ですね…」
「ホントだよ…」
「でも、今日は幸運なことに外出は一切ありませんよ!」

 幸運と不運は本当に表裏一体なのだと感じた1週間でした。

(スタッフH)

◎バックナンバーはこちらから