すっかりiPadが、財布と携帯の次に肌身離せぬ持ち物となった最近の編集長。以前もこのコーナーで取り上げたように、原稿の確認や簡単な調べ物は、ほぼiPadを通じて行うようになっています。

 そんな編集長と取材に同行したある日のことです。移動中、編集長はiPadと向き合い、何やら一生懸命に入力しています。
「なぁ、この英数字表記から、“「 」”とかの記号を打ち込みたい時にはどうすればいいんだ?」
 iPadでの文字入力について、僕は質問を受けました。

「たぶん、ここをタップしたら記号が出ますよ」
「あ、本当だ。サンキュー」

 入力を教える際にチラリと見た画面には、
○月×日、晴れ
○月△日、くもり一時雨
○月□日 雨のち晴れ
……
 と日付と天気がズラリと並んでいました。

「編集長、日記でも書いているんですか?」
「あぁ、日記というか備忘録だな。ほら」

 中身を見せてもらうと、早速、この日の取材で印象に残ったことがまとめてあります。他にはその日のスポーツの出来事や、新聞、ニュースで気になったニュースの概要、出会った人と交わした印象に残る言葉、今度読みたい本、おいしかったレストランの情報などが箇条書きで書いてありました。

「こうやってまとめておくと、原稿を書いたり、仕事を進める上で役立つだろ? 頭の中に入れておくだけじゃ、人間忘れちゃうからな」

 聞けば編集長、今年の1月1日からiPadにかかさず入力しているとか。連日、取材や原稿執筆、講演、テレビ出演とスケジュールに追われている編集長にとって、この備忘録は頭の中を整理するツールになっているようです。

「これは見習わなくては!」
 僕も早速、編集長のマネをして、この2月から備忘録をつけることにしました。しかし、3日坊主の僕は、小学校、中学校、高校と節目を迎えるたびに日記をつけようと頑張りましたが、文字どおり3日と続いたことがありません。

「日記と思ったら続かないな。その日の印象に残ったことをツイッターみたいに短くまとめれば……」
 そうラクな気持ちでつけ始めると、珍しいことに1週間続きました。そんなある1日の備忘録――。

「朝、広島から買ってきたもみじまんじゅうを食べる。
 昼、ちょっと遅めにチキン南蛮弁当
 夜、終電で帰って、すき家で牛丼
 小腹がすいたので、テレビを見ながら自宅でポテトチップス。コンソメ味はうまい」

 読み返してみると、その日食べたものを思い出して書き出すボケ防止のテストのようです。内容のある編集長の備忘録とは雲泥の差……。

「食べもののことしか思い出せないような人間だからブクブク太るんだよなぁ」
 来週の野球、サッカーのキャンプ地巡りでも、取材内容より土地土地の名物料理を綴ってしまいそう。せめて食べ過ぎを反省する材料として活用したいと思っています……。

(ただし今週の頭から、既にサボり始めていますが……スタッフI)
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