9日、パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)が開幕する。第1ステージでは埼玉西武(リーグ2位)と千葉ロッテ(同3位)が西武ドームで激突。2戦先勝したチームが、7年ぶりにリーグ優勝を果たした福岡ソフトバンクが待つ第2ステージへと進出する。
 今季の両者の対戦成績はロッテの13勝11敗。しかし、西武ドームに限って言えば、西武が7勝5敗と勝ち越している。相性としては全くの互角といっていいだろう。最近3年間のパ・リーグCS第1ステージでは、初戦をとったチームが第2ステージへと進出している。それだけに、初戦の西武・涌井秀章、ロッテ・成瀬善久と両者が誇るエース対決に注目がおかれる。

 涌井はシーズン終盤、不調に陥った。最後は6試合で1勝2敗。優勝を目前としながらも、2試合連続でKO負けを喫した。チームが残り6試合で3.5ゲーム差あったにもかかわらず、ソフトバンクの猛追をかわすことができなかった一因となったことは否めない。宮崎県南郷での直前合宿では、下半身の使い方の指導を受けるなど、必死の調整が行なわれた。エースの復活なしでは到底勝ち抜くことはできない。しかし、渡辺久信監督が就任1年目の2008年には、シーズンで10勝11敗ながら、CSおよび日本シリーズで3勝を挙げ、日本一に貢献した経験をもつ。今回も短期決戦での強さを発揮したいところだ。

 成瀬は今季、尻あがりに調子を上げてきた。3年ぶりのCS進出を決めた最終戦、1日のオリックス戦ではスライド先発し、チームトップとなる13勝目を挙げている。首脳陣やチームからの信頼も厚い。涌井とは横浜高校の先輩・後輩でもある。今季の対戦成績は2勝1敗。通算でも3勝1敗と先輩の成瀬に軍配が上がっている。しかし、唯一の敗戦が今季開幕戦の西武ドームだけに、その雪辱を晴らしたいところだ。シコースキー、小林宏と両者ともに守護神に不安が残るだけに、エースの出来が勝負を分けそうだ。

 一方、打線はというと、西武はリードオフマンの片岡易之を負傷で欠いている。代役として1番に栗山巧が入ると予想されるが、攻撃の起点となれるか。それでもリーグ最多の150本塁打を放ち、長打力はリーグでも群を抜いている。特に主砲・中村剛也の復活は大きい。13打数7安打と成瀬に相性のいい高山久はフェニックスリーグで2試合連続満塁アーチを放っており、絶好調とCSでのキーマンとなりそうだ。

 ロッテは初の首位打者に輝いた西岡剛が好調だ。涌井に対しても18打数7安打と得意としている。他にも勝負強さを兼ね備えた好打者がズラリと並び、チーム打率(2割7分5厘)、得点(708点)はリーグトップを誇る。15打数1安打と涌井に相性の悪い井口資仁が涌井を攻略できれば、優位に試合を進めることができる。

 マジック4としながらソフトバンクに優勝を奪われた西武。一方、先にシーズンを終えた北海道日本ハムとのCS進出争いで、1試合も負けられなかった残り3試合を全て制し、勝利への執念を見せたロッテ。チームの勢いではロッテに分がありそうだ。果たして、第2ステージへとコマを進めるのはどちらか。8日、熱戦の火蓋が切って落とされる。