12日、国際親善試合がソウル・ワールドカップスタジアムで行なわれ、日本代表は韓国代表と対戦した。7年ぶりにソウルへ乗り込んだ日本は序盤こそ韓国のプレスに苦しむが、20分過ぎからはペースを掴みパスを通し始める。本田圭佑(CSKAモスクワ)のミドルシュートなどが韓国ゴールを襲うも得点は生まれず、前半を0対0のまま折り返す。後半に入るとホームの韓国が前がかりになり、日本は劣勢に立つ。押し気味に試合を進めた韓国の猛攻に対し日本はカウンターで応酬するも両国ともスコアが動くことはなくスコアレスドローで試合終了となった。

 今年3回目の対戦は両者譲らず(ソウル)
韓国代表 0−0 日本代表
 先日のアルゼンチン戦で金星をあげた日本は、敵地に乗り込み韓国戦に臨んだ。「我々にとってアルゼンチン戦よりも難しい試合になるかもしれない」とアルベルト・ザッケローニ監督が口にした言葉通り、非常に激しい試合となった。

 日本はこれまでと変わらぬ4−2−3−1の布陣を敷いた。アルゼンチン戦と先発は4名が入れ替わり、ゴールキーパーには西川周作(広島)、右サイドバックには駒野友一(磐田)、中盤右サイドには松井大輔(トム・トムスク)、ワントップには前田遼一(磐田)が入った。負傷者続出の中、ザッケローニ監督は様々な選手を起用し個性を把握しようと努めていた。

 立ち上がりから積極的にプレスをかけたのは韓国だった。ホームでは日本に負けられないという気持ちの表れたプレーを見せ、パク・チュヨン(ASモナコ)にボールを集め攻撃を組み立てる。対する日本は、ボールこそ持たれるものの、ゴール前の危険なゾーンでは相手FWに仕事をさせない。アルゼンチン戦に続いてコンビを組んだ今野泰幸(F東京)、栗原勇蔵(横浜FM)のセンターバックが息のあったプレーでピンチの芽を的確に摘んでいった。

 20分過ぎからは日本がペースを握り、少ない手数で韓国ゴールを襲う。27分には前田が中盤でボールをカットし、ゴール正面に走りこんだ松井にボールを預けると、そこから左サイドに展開した本田へパスを出す。PAの少し外でボールを受けた本田は、浮き気味のボールをコントロールしながら強烈なボレーシュートを放つ。シュートはゴール左隅へとコントロールされるが、GKチョン・ソンリョン(城南)がファインセーブをみせゴールにはならず。42分にも本田がミドルシュートを放ち、少ないチャンスでも積極的にゴールへと向かう姿勢を見せた。

 後半になると、開始からキ・ソンヨン(セルティック)を投入した韓国が一気に流れを掴む。6分にはFWイ・チョンヨン(ボルトン)がDFラインの裏を突破。ここは西川が好判断でキックでクリアする。さらに13分にはフリーキックのチャンスにゴール前で待ち構えていたパク・チュヨンがヘディングシュート。西川が一旦ボールをこぼすが長友佑都(チェゼーナ)が落ち着いてボールをクリアし難を逃れる。時間が経つにつれ、段々と韓国に決定的な場面が訪れる回数が増えていく。

 対する日本は後半に入ると、中盤を厚くした韓国のプレッシャーに押されて攻めの形が作れない。ザッケローニ監督は26分に細貝萌(浦和)を投入し人数を中央に割いたものの、韓国に傾いた流れを呼び戻すことができない。

 それでも32分、カウンターから活路を見出すと、中盤でインターセプトした長谷部誠(ヴォルフスブルク)が自らドリブルでゴール前まで侵入し、左の松井へスルーパスを出す。一旦はサイドへボールが流れるものの、松井が左足でクロスをあげる。ボールはDFに入ったチェ・ヒョジン(FCソウル)の手に当たりゴールラインを割ったように見えた。しかし主審はハンドを取らず、そのままコーナーキックへ。日本は勝ち越しのチャンスをフイにさせてしまった。

 韓国の猛攻を受けながらも光ったのは本田の動きだった。高い技術と当たり負けしない身体でボールをキープし、チームが押し上げる時間を作っていく。さらに、韓国が人数を割いて攻撃に出ると見ると、自陣まで戻って必死のDFでボールを奪い返す。献身的な動きで虎視眈々と反撃のチャンスを狙っていた。

 すると、終了間際の44分にビッグチャンスが訪れる。センターサークル付近でボールを奪った本田がドリブルでゴール前まで持ち込むと、DF3人に囲まれながらも左足で強烈なシュートを放つ。ボールは枠内へコントロールされ絶好のコースへ飛んだ。しかし、ここもチョン・ソンリョンが好セーブを見せ決勝点をあげるには至らない。互いに惜しいシュートがあったものの、このまま試合はロスタイム3分を経過し、0対0の引き分けに終わった。

 南アフリカW杯を経て、日本は確実にステップアップしている。それと同じレベルで韓国も着実に力をつけている。緊張感のある親善試合は互いが長所を見せつつ、レベルの高い引き分けとなった。2010年の国際Aマッチは今日の試合で最後。2011年の初めにはアジアカップが待っている。アジアを制するためにも越えなければならないライバルの力をザッケローニ監督は、どう判断したのか。今日の引き分けが来年のアジアカップ、さらには2014年ブラジルW杯予選に生かされるよう、ザックジャパンは成長していかなければならない。試合後、本田は「若い選手が多いので、自分も含めてもっと成長できると思う。もっともっと上を目指してやっていけるチームだと確信しています」と力強く語った。ワールドカップイヤーの最後を飾る試合は、永遠のライバル相手に敵地でドローに持ち込み、今後の代表チームに希望を持たせてくれる90分間となった。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
西川周作
DF
栗原勇蔵
今野泰幸
長友佑都
駒野友一
→内田篤人(15分)
MF
遠藤保仁
→中村憲剛(85分)
長谷部誠
松井大輔
→金崎夢生(78分)
香川真司
→細貝萌(72分)
本田圭佑
FW
前田遼一