日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2010は30日、石川県立野球場で第3戦が行われた。石川が山崎猛志、香川が前川勝彦と第1戦と同じ先発でスタートした一戦は、両投手が好投。1−1の同点のまま、2試合連続の延長にもつれこむ。迎えた延長10回、石川は2死2塁から楠本大樹がセンターの頭上を破るサヨナラ打。石川が2−1で延長戦を制し、対戦成績を1勝2敗として踏みとどまった。第4戦は引き続き31日に同球場で実施される。
 香川、痛い4失策&4盗塁死(石川1勝2敗、石川県立野球場、1,027人)
香川オリーブガイナーズ 1 = 000100000 0 
石川ミリオンスターズ   2 = 000000100 1× (延長10回)
勝利投手 南(1勝1敗)
敗戦投手 伊藤(1勝1敗)

 カウント3−1から甘く入ったカットボールを振りぬくと、打球は前進守備のセンターの頭上を越えた。と同時に3塁側の石川ベンチから一斉に選手たちが飛び出した。王手をかけられ、後がない状況からのサヨナラ勝ちだ。
「こういった接戦のゲームなら、ウチのいいところが出せる。2戦目に(サヨナラで)やられていたので、やり返したかった」
 そう森慎二監督が語ったように、ホームに帰った石川の選手たちが最後に意地をみせた。

 先にチャンスをつくったのは石川だった。2回、1死から敬洋がチーム初安打を放ち、出塁。続く木村陽彦のゴロをショートが併殺を焦り、オールセーフにしてしまう。さらに佐竹由匡の放った当たりも二遊間に転がると、再びショートがお手玉。思わぬ守備のほころびが出た香川は1死満塁のピンチを迎える。

 しかし、石川は8番・佐野憲一がセカンドゴロ、9番・座親孝一が空振りの三振に倒れ、絶好機をモノにできない。窮地を脱した前川は4回から3回まで3イニング連続の三者凡退。石川打線は前川の緩急をつけた投球に手も足も出ない。

 そんな中、先制したのは香川だった。4回、1死から加登脇卓真がセンター前ヒット。ここで石川の先発・山崎が相手クリーンアップを警戒するあまり、制球を乱す。4番・中村真崇、5番・国本和俊に連続四球を与え、満塁となる。さらに続く洋輔の打席でワンバウンドの投球をキャッチャーが捕球できず、3塁走者が難なくホームを陥れた。ただ、香川もその後のチャンスを併殺でつぶすなど、相手を突き放すことができない。6回には1死2塁で3番・加登脇、4番・中村が相次いで倒れ、試合は1−0のまま終盤に突入する。

 すると7回、石川がついに反撃をみせる。まず先頭の敬洋が3塁線を破る2塁打。ここで石川ベンチはピンチバンターとして鷲谷修也を送り、確実に走者を3塁へ進めた。さらに石川の森監督は代打攻勢をかける。「このところ代打で出すとヒットを打ってくれていた」と指揮官が期待をもって送り出した笹沢学が前川のボールをしっかり捉え、レフトへの犠牲フライ。待望の1点が入り、ゲームは振り出しに戻った。

 対する香川は攻守にミスが目立った。9回、10回とヒットで走者を出しながら、いずれも盗塁失敗でチャンスをつぶした。この試合、5回も盗塁を企図しながら、成功したのはわずか1回。攻撃でリズムをつくれなかったのは最大の敗因だ。またサヨナラの場面もきっかけはショートの悪送球によるもの。慣れない球場のせいか4失策と守備も乱れた。加えて2死2塁と1塁が空いている状況ながら、3−1と打者有利のカウントから勝負に行ったのも不用意だった。「“(四球を出してもいいから)広く行け”と指示を出したが、勝負か歩かせるか徹底すべきだった」と西田真二監督も悔やむ1球となった。

 2試合で3本塁打と大当たりだった4番の中村もこの日は3三振。石川は香川の中軸封じに手ごたえを感じたことだろう。このサヨナラ劇でチャンピオンシップの流れは変わるのか。それとも香川が再び気を引き締めて日本一を決めるのか。北陸の肌寒いナイトゲームは第4戦も熱くなりそうだ。