缶コーヒーブランド「ジョージア」は、2010シーズンよりプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結し、“チームの勝利のために貢献した素晴らしいプレー”に贈られる「ジョージア魂」賞を創設しています。「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、二宮清純の書き下ろしコラム「野球探偵007」のコーナーをオフシーズンも月2回更新中。過去の受賞プレーはもちろん、惜しくも受賞を逃したノミネートプレーの中から二宮があらためて取り上げたいものを題材にコラムを執筆しています。

(写真:昨季は8月10日の西武戦で5打数5安打の大当たり)
 当サイトでは今回、昨シーズンの「ジョージア魂」賞に2度ノミネートされた東北楽天・内村賢介内野手のコラムを特別に紹介します。

 東北楽天・内村賢介「目指せ! 弘田澄男」 

 東北楽天の内村賢介は今季、2度「ジョージア魂」賞にノミネートされた。それが今季の成長を物語っている。
 最初のノミネートは第3回。5月2日の対オリックス戦、守備固めでセカンドに入っていた9回、1、2塁間の当たりに渾身のダイビングキャッチを試み、同点のピンチを切り抜けた。このファインプレーで先発の田中将大に4勝目をプレゼントした。

 2回目のノミネートは第5回。交流戦での5月22日の巨人戦。打っては9番で3安打。守ってはショートで小笠原道大の左翼線への打球を追い、フェンス際で闘志あふれるスライディングキャッチを披露した。

 プロ入り3年目の今季、内村はキャリアハイとなる111試合に出場し、規定打席不足ながら打率3割4厘を記録した。盗塁も昨季に引き続き10。自らの居場所を確保しつつある。
 この内村、現在のプロ野球界では最も小さな選手だ。身長163センチ、65キロ。俊足を生かすため、入団1年目の途中からスイッチヒッターに転向した。

 周知のように彼は独立リーグ、石川ミリオンスターズの出身だ。BCリーグの1期生にあたる。ミリオンスターズの初代監督は現千葉ロッテ打撃兼野手チーフコーチの金森栄治。「最初に会った時から守備と走塁はズバ抜けていた」と語っていた。
 問題はバッティングだ。非力は隠しようもない。内村は高校時代、左で打っていた。社会人ではスイッチも経験している。左も右もこなせるといえば聞こえはいいが、要するに器用貧乏だったのだ。

 金森の指示はシンプルだった。
「右で打て!」
 足を生かすのであれば、1塁ベースに近い左で打つほうが有利に決まっている。しかし、それではバッティングの基本が身につかないと金森は考えたのである。
 これが功を奏した。しっかりとボールを呼び込み、軸を回転させる内村の打法は小柄ながら力強い。ただ当てにいくだけのバッティングなら、3割を超える打率を残すことはできなかっただろう。

 小柄で、しかも育成選手出身。いくつもの不可能を可能に変えてきた男は25歳になる来季、さらなる高みを目指す。内野と外野の違いはあるが、パンチ力が増せば、かつてロッテなどで活躍した弘田澄男のような選手になれるのではないか。弘田はベストナインに2度、ゴールデングラブ賞に5度選ばれている。そういえば弘田の身長も公称では163センチだった。

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、同じく昨シーズン、「ジョージア魂」賞に2度ノミネートされたオリックス・田口壮外野手についても二宮清純の書き下ろしコラムを掲載中!

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