高橋陽一といえば1981年から連載が始まった『キャプテン翼』で日本にサッカーブームを巻き起こしたサッカー漫画の第一人者です。今春には『週刊漫画ゴラク』にて新連載『誇り(プライド)』がスタート。『キャプテン翼』とはまた一味違ったサッカーの世界が描かれています。今回はその高橋さんと当HP編集長・二宮清純の特別対談が実現しました。世界中のサッカー少年に影響を与えた高橋さんと初めて膝を交えた対談でサッカー、格闘技をはじめとしたスポーツの魅力について語り尽くされました。
 当サイトでは雑誌に先駆けて、高橋さんとの対談の一部を紹介します。

高橋: (二宮さんのコラムは)サッカーからプロレスの悪役まで幅広いテーマをちゃんと批判もしながらおもしろく読ませてくれる。すごいです! スポーツの楽しみ方をさらに広げてくれた二宮さんにぜひお会いしたいと思っていました。

二宮: ありがとうございます。光栄ですね。サッカーの現場を取材していて、「キャプテン翼を読んでサッカー選手を目指した」という選手が圧倒的に多いんですね。スペインなど海外の選手を含めて。
高橋: でも実は僕、子どもの頃は野球が大好きでプロ野球選手に憧れてたんです。小学校高学年になるとムリだなぁと思い出し、絵を描くのが好きだったので漫画家の道に進もうと。

二宮: ええ!? 実は僕も小学生の頃、将来の夢はプロ野球選手。でもぜんそくが持病だったのであきらめ、好きなスポーツを近くで見るには書く仕事がいいかなと漠然と考えていました。
高橋: サッカー漫画を描きたいと思ったのは78年のワールドカップを観たときですね。

二宮: あのときはアルゼンチンが優勝したけど、FWのマリオ・ケンペスが凄かった。長髪をなびかせながら突進する姿が忘れられないですね。
高橋: そうでした! あの大会を見て“野球よりすごい!”と衝撃を受けたのを覚えています。

>>この続きは2月18日発売の「週刊漫画ゴラク」でお楽しみ下さい。

 高橋さんが世に送り出したサッカー漫画の金字塔『キャプテン翼』は日本で7000万部を超える売り上げを誇り、多くの現役Jリーガーたちが子どもの頃から愛読するなど、多大な支持を得ています。その人気は国内にとどまらず、50カ国以上でアニメがテレビ放送されるほど。現在、世界最高の選手と称されるアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手も『キャプテン翼』の大ファンとして知られています。

「こんな事ができたら楽しい」。ドライブシュートやタイガーショット、ツインシュートなど夢あふれる必殺シュートは0.01%でも可能性があれば描くという高橋先生。その遊び心こそが、『キャプテン翼』の人気を支え続けています。サッカー日本代表の試合はスタジアムへ観戦に行くという高橋さんは、98年W杯大会では現地フランスまで足を運んだそうです。対談では、そのときにバルセロナに泊まったことが、翼くんをバルセロナに入団させたきっかけとなったというエピソードまで語られました。

 格闘技ファンでもある高橋さんは、ボクシングやプロレスの世界観に魅せられてきたといいます。対談では佳境に入ると、昭和のプロレスを彩った外国人レスラーから知る人ぞ知る名ボクサーまで次々とマニアックな名前が飛び出します。また、スピーディーな展開をみせる『キャプテン翼』の実況シーンは、プロレスでの名物アナウンサーの名調子が参考になっていると制作秘話も明かされました。

 4月から始まる『誇り(プライド)』はこれまでのサッカー漫画とは一線を画すストーリーです。漫画ファンのみならず、スポーツファンにとっても必見の内容となっています。同年代だからこそ盛り上がりを見せた2人の対談を是非お楽しみください。