転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.感情を抑え、淡々と

 人は見ていないようで見ているものである。やることなすことうまくいかない。裏目に出る。そんな時は誰にだってある。
 そこでクサってはいけない。グチをこぼしてはいけない。上司や部下を恨んではいけない。感情を表に出さず淡々と振る舞っている者には、いずれ再起のチャンスが訪れる。そんな例を二つ紹介したい。

 中日ドランゴンズのサウスポー山本昌はNPB(日本プロ野球組織)における現役最年長投手である。45歳。これまでに210勝を挙げている。
 昨シーズン(2010年)は故障続きで引退の危機に直面したが、8月に一軍に上がると順調に勝ち星を重ね、チームのリーグ優勝に貢献した。
 開幕は二軍スタートだった。名球会に入っているような大投手が自分の息子のような選手たちと汗を流す。「オレは自分のやり方でやる」。こう言っても誰も反論はできまい。コーチには自分より年下もおり、実績の面でも格下だからだ。
 だが山本は違った。文句ひとつ言わずに他の選手と同じ練習メニューを黙々とこなした。その一例がスパイクを履いての守備練習である。

 最近の若い選手の中には運動靴で守備練習をこなす者もいる。ピッチャーノックでは、しばしばそんな場面に遭遇する。要するに面倒臭いことをやりたがらないのだ。
 しかし、試合でスパイクを履かずにプレーすることは絶対にない。プロ野球選手は"時価"で評価が決まる。200勝を記録していたとしても、それは過去の話。今は数多くの二軍投手のひとりに過ぎないのだ。そして山本はそのことを誰よりも自覚していた……。


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