千葉ロッテの捕手といえば、言わずと知れた里崎智也だ。2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本の初優勝に大きく貢献するなど、今や日本を代表する捕手である。その里崎に続けとばかりに、今、2軍では若い捕手たちが凌ぎを削っている。なかでも最も将来を嘱望されているのが、青山学院大からドラフト4位で入団したルーキー小池翔大だ。1月の新人合同自主トレーニングから約半年が経ち、2軍の正捕手となりつつある小池を直撃した。
 1月の合同自主トレを終え、ルーキーでは伊志嶺翔大、小林敦とともに小池は一軍キャンプのメンバーに選ばれた。だが、何もかもが初めてのことに加え、周囲にはプロで実績を積み上げてきた大先輩たちばかり。もともと人見知りの性格の小池は、はじめの1週間は緊張で思うようにはいかなかったという。アピールすることは無論、試合形式の練習では本来の力を発揮できず、おどおどした自分が情けなかった。周りを見れば、どの選手も自分に自信をもってプレーしている。プロとしての基盤がそこにあることを小池は知った。その後、さらにそのことを思い知らされることになる。

 開幕して間もない4月20日、小池は突如、一軍の出場選手に登録された。しかし、喜びも束の間だった。その4日後には登録を抹消。一軍の日々はわずか4日で終わった。その間、小池は一度も出場機会を与えられず、ベンチを温め続けた。だが、その4日間が現在の小池には大きなモチベーションとなっている。
「里崎さんを見ていて、一番すごいなと思ったのは、チームが劣勢な時でも、全く慌てる様子がないことでした。普段と変わらずに自分のプレーをしている。そのオーラみたいなものがすごかったですね。ほとんど話すチャンスはなかったのですが、里崎さんが自分に自信をもってやっていることはよくわかりました」

 首脳陣の期待を背負い自分磨きの日々

 では、小池自身はというと、技術的にも精神的にも本人いわく「まだまだ」なのだという。
「一軍の試合を観ていて、自分がそこでプレーしているイメージが全くわかなかったんです。『自分はまだまだだ』と感じるばかりで……。でも、逆にその時にそう思えたことがよかったと思っています。『もっと、頑張らなければいけない』ということを肌で感じることができましたから。今は、とにかく1試合でも多く出場して、いろいろな経験をしながら自分に自信をつけていきたいと思っています」
 実はこれは首脳陣の狙い通りだったようだ。「一軍での経験をさせておきたかった」というのが一軍昇格の理由だったということを、小池は後に聞かされたのだ。それだけ小池への期待は大きいという証でもある。もちろん、そのことは小池自身も理解している。だからこそ今、少しでも自信をつけたいと必死なのだ。

 30日現在、小池はイースタン・リーグで22試合に出場し、17安打9打点、2本塁打、打率2割7分9厘とまずまずの成績だ。しかし、やはり気になるのはチームの投手成績だ。チームはリーグ最下位ながら、チーム防御率は巨人の2.41に次ぐ2.79。3点がボーダーラインと考える小池にとっては、合格点といっていいのではないか。しかし、未だにリード面において会心の試合、配球はないという。
「オープン戦が始まったばかりの頃と比べると、だいぶ落ち着いてリードできるようになりましたが、それでも毎日が勉強です。配球を考えるのは本当に難しい。結果論的な部分も否めない。でも、だからこそ追求しがいがあると思うんです。とにかくピッチャーが力を発揮できるようなリードをしていきたいですね」

 大学時代には日本代表の正捕手として、活躍した小池。斎藤佑樹(北海道日本ハム)、や澤村拓一(巨人)ら小池が球を受けてきた同級生が注目を集めている。さらに同じくゴールデンルーキーとしてロッテに入団した伊志嶺翔大は、開幕一軍入りを果たし、今やレギュラーの座をつかみつつある。しかし、小池に焦りの気持ちは皆無だ。自らのすべきことはわかっている。“開花”するその時まで、一歩一歩、着実に歩み続ける。

小池翔大(こいけ・しょうた)プロフィール>
1988年6月24日、東京都生まれ。小学1年から高砂コンドルで野球を始め、修徳中学入学後、本格的に捕手となる。同中3年時には軟式の全国大会で準優勝を果たした。常総学院高では1年秋からベンチ入りし、2年春、3年夏と2度の甲子園を経験した。青山学院大に進学し、1年春のデビュー戦で満塁本塁打を放つ。3年時には初めて日本代表に選出され、日米大学野球選手権、プロアマ交流戦に出場。4年時にも世界選手権に出場し、銅メダル獲得に貢献した。ドラフト4位で今年、ロッテに入団。イースタン・リーグでは正捕手の座をつかみつつある。183センチ、86キロ。右投右打。


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(斎藤寿子)