メジャーリーグの第82回オールスターゲームが13日、アリゾナ州フェニックスのチェイス・フィールドで行われた。試合は0−1とナショナルリーグ1点ビハインドで迎えた4回、無死1、2塁のチャンスでプリンス・フィルダー(ブルワーズ)の3ランで逆転に成功。その後も得点を重ね、最後はジャイアンツのブライアン・ウィルソンが締めて5−1で逃げ切った。ナ・リーグは昨年、オールスターでの連敗を12でストップした後、2連勝。MVPには逆転弾のフィルダーが選ばれた。
 小刻みな継投も成功
アメリカン・リーグ   1 = 000100000
ナショナル・リーグ  5 = 00031010×
勝利投手 クリッパード(ナショナルズ)
敗戦投手 C.J.ウィルソン(レンジャーズ)
セーブ   ウィルソン(ジャイアンツ)
本塁打  (ア)A.ゴンザレス(レッドソックス)ソロ
       (ナ)フィルダー(ブルワーズ)3ラン

 10年連続出場していたイチロー(マリナーズ)も、過日3000本安打を達成したデレク・ジーター(ヤンキース)も、アレックス・ロドリゲス(同)も、アルバート・プホルス(カージナルス)もいない。常連不在の今回、現地でも球宴への注目度は決して高くなかった。それだけに新たなスター誕生が望まれた一戦だった。

 その有力候補と目されていたのがブルージェイズのホセ・バティスタだ。昨季54本塁打でア・リーグの本塁打王に輝き、今季は既に31本塁打。リーグを代表するスラッガーとなった30歳はファン投票で史上最多の745万4753票を集めた。今回は「4番・ライト」でスタメン出場。一発が期待されたものの、第1打席はセンターフライ、第2打席はファーストへの内野安打とバットは火を吹かなかった。

 試合は4回、ア・リーグ3番のエイドリアン・ゴンザレス(レッドソックス)が右中間へソロアーチを描き、1点を先制する。ア・リーグはその後も連打でチャンスを広げ、2死1、2塁。ここでエイドリアン・ベルトレ(レンジャーズ)の放った打球はレフト前へ。しかし、ハンター・ペンス(アストロズ)からの返球が良く、2塁走者がタッチアウト。ア・リーグは追加点のチャンスを逃した。

 すると、その裏、ナ・リーグはア・リーグ4番手のC.J.ウィルソンの代わり端を攻め、無死1、2塁と同点機をつくる。ここで打席に入ったのはフィルダー。阪神でもプレーしたセシル・フィルダーを父に持つ07年のナ・リーグ本塁打王は、甘いカットボールを逃さない。打球はバックスクリーン左のスタンドへ飛び込んだ。これで3−1。ナ・リーグが試合をひっくり返した。

 さらにナ・リーグは5回、足で魅せる。1塁の代走で出た初出場のスターリン・カストロ(カブス)が2盗、3盗を相次いで決め、好機を広げる。カストロはリッキー・ウィークス(ブルワーズ)の内野ゴロで本塁突入してアウトになったものの、今季の新人王有力候補によるハッスルプレーに引っ張られ、1塁に残ったウィークス(ブルワーズ)がすかさず2塁へスチール。ここで代打アンドレ・イーシア(ドジャース)がタイムリーを放ち、貴重な追加点をあげた。7回にはパブロ・サンドバル(ジャイアンツ)の2塁打で1点を加え、リードを広げた。

 ナ・リーグは投手陣も軒並み好投を見せた。2回をパーフェクトに封じた先発のロイ・ハラデー(フィリーズ)から細かくつなぎ、8回途中からはヒース・ベル(パドレス)、ジョエル・ハンラハン(パイレーツ)、ウィルソンと各球団のクローザーを惜しげもなく起用。相手の反撃の芽を断ち切った。阪神、オリックスでプレーしたライアン・ボーグルソン(ジャイアンツ)もナ・リーグのメンバーに入っていたが、登板機会はなかった。

 これで両リーグの対戦成績は42勝38敗2分。今季のワールドシリーズはナ・リーグ優勝チームの本拠地からスタートする。