8月16日(火)
◇3回戦
 能代商・保坂、地方大会から一人で投げ切るもあと一歩及ばず
能代商(秋田)   2 = 100000000001
如水館(広島)   3 = 010000000002× (延長12回)
 初のベスト8進出を目指すチーム同士の戦いは、延長にもつれこむ激しい投手戦となった。先制したのは能代商。初回、1死三塁から3番・保坂祐樹(3年)がタイムリーを放ち、1点を先制した。2回裏、如水館は2死三塁の場面、早くも代打を送った。これが結果的に功を奏す。代打・北野友啓(3年)は内角真ん中の直球を思いっきり振り抜くと、打球は高々と遊撃手の後方へ上がる。打球は内外野の間にポトリと落ちるテキサスヒットとなり、如水館が同点に追いついた。3回以降、ゼロ行進が続き、1−1のまま延長へと入った。

 均衡が破れたのは12回表。2死から8番・石川大成(3年)がこの試合初安打を放つ。その石川が盗塁を決め、2死二塁とした。続く9番・畠山慎平(2年)はボテボテの内野ゴロに倒れるも、これを如水館の遊撃手・門田透(3年)が一塁へ悪送球。ボールがファウルグラウンドへ転がっているうちに、石川が勝ち越しのホームを踏んだ。その裏、痛恨のミスをした門田が粘って四球を選び、無死からランナーが出る。2番・樋口圭(3年)は3球三振に倒れも、2打席連続長打を放っている3番・金尾元樹(3年)がヒットで続き、1死一、二塁とした。さらに門田が三盗を決め、チャンスを広げる。4番・島崎翔真(1年)の打球はボテボテの内野ゴロに。一塁手が一塁ベースへと走り込む隙に門田がホームへ。一塁手も素早くバックホームするも、捕手のミットからボールがこぼれ、如水館が同点に追いついた。さらに5番・宇田友洋(3年)の打球がエース保坂の右足に当たり、宇田にとってはラッキーなヒットとなる。打席には再び木村が立つ。木村は内角高めの直球を思い切り叩くと、打球は三遊間を抜け、レフトへ。三塁ランナー金尾が生還し、如水館は3試合連続で延長戦を制し、初のベスト8進出を決めた。

 金沢・釜田、2失点完投も1点に泣く
金沢         1 = 000000100
習志野(千葉)   2 = 00100010×

 金沢・釜田佳直(3年)、習志野・在原一稀(2年)。両先発陣が初回は3者凡退に切ってとる最高の立ち上がりを見せたこの試合は、最後までどちらが勝つかわからない手に汗握る投手戦となった。先制したのは習志野。3回裏、1死から9番・在原がチーム初安打を放つと、1番・宮内和也(3年)もヒットで続いた。2番・片桐憲吾(3年)は空振り三振に倒れるも、3番・福山慎吾(2年)が三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、習志野が1点を先制した。

 7回表、金沢は1死から8番・田代健人(2年)がヒットで出塁すると、9番・丹保雄志(3年)が送りバントを決め、2死二塁とした。続く1番・桜吉宏樹(3年)が外角低めに沈むスライダーにうまくバットを合わせ、技ありのヒットを放つ。田代が同点のホームを踏んで、試合を振り出しに戻した。しかしその裏、習志野は2死一、二塁から2番・片桐のタイムリーで貴重な追加点を挙げた。

 試合はそのまま最終回へ。9回表、1点を追いかける金沢は先頭の5番・石田翔太(3年)が四球で出塁し、6番・越田貴之(3年)が送りバントを決め、1死二塁とした。ここで金沢は岩崎佑太(3年)を代走に送る。7番・魚野翔太(3年)がこの試合自身3本目となるヒットを放ち、1死一、三塁とした。ここで習志野は力投を続けてきた在原にかえ、2番手・木村光彦(2年)をマウンドに上げた。その木村の初球を8番・田代がスクイズをするも、三塁ランナー岩崎が返れず、あわてて帰塁しようとしたが、木村から三塁へボールが送られ、タッチアウトとなる。これで2死一、二塁となる。続く9番・丹保はフォークをうまくとらえ、鋭い打球を飛ばした。抜ければ、同点というところだったが、これを習志野の二塁手・中村敦貴(3年)が倒れ込みながら好捕し、一塁へ。丹保は必死にヘッドスライディングするも、間に合わず。習志野が1点差を凌ぎ切り、10年ぶりのベスト8進出を決めた。

  49年ぶりの夏8強
作新学院(栃木)   6 = 001001211
八幡商(滋賀)    3 = 000100101
【本塁打】
(八)遠藤

 先制したのは作新学院。3回表、先頭の1番・石井一成(2年)が両チームあわせてこの試合初の長打となる二塁打を放つ。2、3番打者が倒れるも、4番・飯野徹也(3年)がタイムリーを放ち、作新学院が1点を先制した。4回裏、八幡商は1死二塁から3番・白石智英(3年)からタイムリーを放ち、試合を振り出しに戻した。

 6回表、作新学院は2死二、三塁から7番・鶴田剛也(2年)のタイムリーで再び勝ち越した。続く7回表、作新学院は2つのヒットと四球で1死満塁とすると、3番・佐藤竜一郎(3年)が一、二塁線を破るタイムリーを放ち、ダメ押しとなる2点を追加した。その裏、今度は八幡商が1死から6番・高橋駿(3年)が四球で出塁すると、7番・日紫喜雄介(3年)が初球、高めに浮いた変化球を見逃さず、思いきり振り抜くと、打球はレフト一番奥へと転がっていった。一塁ランナー高橋が一気にホームへ返り、八幡商が1点を返した。しかし、8回表、作新学院はスクイズで5点目を挙げると、9回表にも1点を加え、リードを4点に広げた。

 その裏、八幡商は先頭打者の5番・遠藤和哉(3年)が2回戦に続いての一発を放ち、1点を返した。さらに1死後、7番・日紫喜がヒットを放つ。2回戦の帝京戦、3点を追っての最終回に一挙5点を奪い、大逆転劇を演じた八幡商。その再現となるかとアルプス席の期待が膨らむ。だが、代打・青木達彦(3年)の打球は無情にも遊撃手の真正面へ。6−4−3の併殺となり、八幡商は初のベスト8進出を果たすことはできなかった。常に先行するかたちで逃げ切った作新学院は、夏は49年ぶりに準々決勝へとコマを進めた。

 エース吉永、3戦連続の完投勝ち
智弁和歌山      4 = 001010200         
日大三(西東京)   6 = 32000001×
【本塁打】
(日)菅沼

 初回、日大三エースの吉永健太朗(3年)が3者連続三振と最高の立ち上がりを見せた。するとその裏、エースの好投に応えるかのように、打線が智弁和歌山のエース青木勇人(3年)の立ち上がりを攻めた。1回裏、2死二塁から4番・横尾俊建(3年)、5番・高山俊(3年)の連続タイムリーで2点を挙げる。さらに相手エラーで1点を追加し、日大三はこの回一挙3点を挙げた。2回裏にも1死二塁から2番・金子がヒットを放ち、さらに中堅手がボールをこぼしている間に二塁ランナーが返り、1点を追加。続く2死後には4番・横尾に再びタイムリーが出て、5点目を挙げた。

 一方、2回まで吉永に無安打と完璧に封じられた智弁和歌山だが、3回表、ようやくその吉永をとらえた。1死一、二塁から1番・嶌直広(2年)がタイムリーを放ち、1点を返した。5回表、吉永の制球が突然、乱れた。1死から2者連続でのストレートの四球を出し、ピンチを招く。次打者を内野ゴロに打ち取るも、併殺を狙った遊撃手からの一塁への送球が乱れ、その間に二塁ランナーが一気にホームへ。智弁和歌山が2点目を挙げる。

 7回表、日大三のエース吉永は2者連続の空振り三振に切ってとり、完全に立ち直ったかのように思われた。ところが、次打者を四球で出すと、暴投でランナーを二進させてしまい、ピンチを招いた。逆にチャンスを得た智弁和歌山は2番・川崎晃佑(2年)が三塁線を破り、二塁ランナーを返した。さらに3番・中村恒星(3年)があわやホームランかという大飛球をレフトへ放った。一塁ランナー川崎が一気にホームへ返り、智弁和歌山が1点差に迫った。しかし、8回裏、日大三は6番・菅沼賢一(3年)が値千金の一発を放ち、ダメ押しとなる6点目を挙げた。そして迎えた9回表、吉永が最後の力を振り絞り、力強いピッチングを披露した。2者連続で見逃し三振に切ってとると、最後は1番・嶌をセカンドライナーに打ち取り、3試合連続の完投勝ちを収めた。2005年以来のベスト8進出を決めた日大三は、準々決勝で習志野(千葉)と対戦する。