10日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕し、巨人(レギュラーシーズン2位)が阪神(同3位)を3対2で下した。巨人はマイルズ・マイコラス、阪神は藤浪晋太郎の投げ合いでゲームは進む。巨人が5回裏にマイコラスの適時打で先制すると、6回裏にも点数を加えて2点のリードを奪った。一方、阪神は7回表に梅野隆太郎のタイムリーヒットなどで同点に追いつく。2対2のスコアのまま延長戦に突入すると、巨人は10回裏1死満塁で代打・高橋由伸が四球を選び、サヨナラ勝ちを収めた。初戦をモノにした巨人はCSファイナルステージ進出に王手をかけた。

 

◇ファーストステージ第1戦
 守護神・澤村、2イニング好救援(巨人1勝0敗、東京ドーム)
阪神    =0000002000
巨人    =0000110001×(延長10回)
勝利投手 澤村(1勝0敗)
敗戦投手 安藤(0勝1敗)

 

 試合は両先発の投手戦となった。阪神・藤浪は1、2回ともに得点圏までランナーを許すものの、失点はしない。一方、巨人・マイコラスは2回まで走者を1人も出さず、順調な立ち上がりをみせた。5回表終了までで両チームのヒット数は2本ずつ、無得点のままイニングは進んだ。

 

 均衡が破れたのは5回裏。先頭バッターの井端弘和が出塁すると、小林誠司が送りバントを決めて得点圏まで走者を進めた。1死二塁の場面で先発投手のマイコラスが打席に入る。マイコラスは藤浪が投じた2球目を右中間に運び、1点を先制する。その後、片岡冶大が四球を選び、2死一、二塁とチャンスは続いたものの、坂本勇人は7球粘った末、外角低めのカットボールに手を出して空振り三振に倒れた。

 

 貴重な先制点を奪った巨人に再び得点のチャンスが巡ってくる。6回裏、長野久義がセンター前ヒットで出塁すると、藤浪は長野の足を警戒した。だが一塁への牽制が、逸れてしまい、ボールはファウルグラウンドへ。その間に長野は一気に三塁まで進塁する。1死三塁で打席に入った亀井義行は甘く入った変化球を弾き返した。打球は藤浪を強襲し、センター前へと転がる。巨人は追加点をあげ、2対0とリードを広げた。

 

 2点を追いかける阪神打線は7回表に、福留孝介とマット・マートンが連続ヒットを放った。代打・俊介が送りバントを決めて、1死二、三塁とチャンスを広げた。ここで1打席目に二塁打を打っている梅野のタイムリーが飛び出した。阪神は1点差に詰め寄ると、続く代打・西岡剛がセンターへ犠牲フライを放ち、同点に追いついた。マイコラスはこの回で降板したものの、7回6安打2失点と先発として最低限の役割を果たし、継投陣にバトンを託した。

 

 マイコラスの後を任された山口鉄也、澤村拓一は8回、9回を無失点に抑えて攻撃のリズムをつくった。だが、打線は得点をあげることができず、2対2のまま試合は延長戦に突入する。2イニング目に入った澤村は10回表を三者凡退に抑えて援護を待った。

 

 すると、その裏、先頭の坂本がフォアボールで塁に出ると、阿部慎之助のサードゴロで二塁へ進んだ。サヨナラ負けを避けたい阪神ベンチは、マートンをベンチに下げ、センター・大和、レフト・俊介に守備変更をして万全の体制を敷いた。4番手・高宮和也は、長野を敬遠すると、亀井と勝負に懸けたものの、亀井も歩かせて、1死満塁のピンチを招く。ここで巨人ベンチも動いた。原辰徳監督は打席に高橋由伸を送った。高橋はフルカウントからの6球目、内側に外れたボールを冷静に見送った。サヨナラ押し出しとなり、予想外の結末で巨人が勝利した。レギュラーシーズン2位のアドバンテージを持つ巨人は、明日の第2戦に勝つか引き分けるかで、ファイナルステージ進出が決まる。

 

(文/安部晴奈)