プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが10日、札幌ドームで開幕した。レギュラーシーズン3位の千葉ロッテが同2位の北海道日本ハムを9-3で破った。初回に先制を許した千葉ロッテは、2回表に今江敏晃の3点タイムリーで逆転した。3回表にはルイス・クルーズ、鈴木大地の連続適時打で突き放すと、終盤にも得点を重ねた。守っては先発の石川歩から、松永昂大、益田直也、大谷智久、内竜也と5人の継投で逃げ切った。一方、日本ハムは先発の大谷翔平が3回持たず誤算だった。11日の第2戦、ロッテはチェン・グァンユウ、日本ハムはルイス・メンドーサが先発する。

 

◇ファーストステージ第1戦

 大谷、3回途中5失点KO(ロッテ1勝0敗、札幌ドーム)

千葉ロッテ     9 = 032002110

北海道日本ハム   3 = 101000100

勝利投手 石川(1勝0敗)

敗戦投手 大谷(0勝1敗)

本塁打 (ロ)清田1号ソロ

 

 秋はロッテの季節――。レギュラーシーズンのラスト10試合を勝率8割で駆け抜けたロッテが、得意とする短期決戦の第1ラウンドで日本ハムに打ち勝った。

 

 ポストシーズンの開幕投手を任されたのは、石川だ。今シーズンは12勝を挙げ、新人だった去年から2年連続の2ケタ勝利を記録した。CS初登板となった石川は立ち上がりを攻められた。先頭の陽岱鋼にヒットを打たれると、続く中島卓也に初球で送られる。1死二塁で迎えた3番の田中賢介にはカウント2-1からの4球目を弾き返された。打球は右中間フェンスを直撃。陽が悠々ホームへ還り、日本ハムに先制を許した。

 

 一方、日本ハムの先発マウンドには今シーズン3冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率)の大谷が上がった。ロッテはシーズンで2完封されるなど、防御率1点台と抑え込まれている。初回は三者凡退に切って取られており、2回表も4番のアルフレド・デスパイネは160キロのストレートで見逃し三振。ロッテにとっては嫌なムードが漂いかける。

 

 それを振り払ったのがベテランの一振りだった。5番の福浦和也が156キロの直球をライトへ弾き返した。チーム初ヒットを放ち、塁に出る。6番のクルーズがサードへの内野安打で一、二塁とすると、続く鈴木が四球を選んで塁を埋めた。1死満塁で8番の今江。14年目のベテランは日本シリーズMVPに2度輝くなど、シリーズ男の印象は強い。短期決戦の戦いをよく知る今江は、「(大谷は)素晴らしいピッチャー。思い切りいこうと思った」と打席に入り、大谷が投じた159キロのストレートを振り抜いた。「今年一番の感触」という当たりは、左中間を破った。3人がホームに還る走者一掃のツーベースヒットとなり、ロッテは逆転に成功する。

 

 ロッテ打線は続く3回にも、大谷に襲い掛かる。2死から福浦が右中間、クルーズが左中間、鈴木が右中間を破る二塁打を放った。3連続長打で、さらに2点を追加した。たまらず日本ハムの栗山英樹監督はピッチャー交代を決断。ロッテは相手エースを3回途中でマウンドから引きずり降ろした。

 

 援護をもらった石川だったが、ピリッとしない。3回裏、先頭の陽にツーベースを打たれ、この回も先頭バッターを塁に許した。続く中島のバントヒットで一、三塁とされる。1死後、4番の中田翔にはレフトへ弾き返された。5-2と3点差に迫られ、なおも一、二塁とピンチは続く。マウンドの石川は、今度は守備で野手に助けられる。5番の近藤健介に初球を強振され、打球はセンター前へと抜けたかと思われた。だがセカンドのクルーズが飛び付いてボールを抑え、そのままグラブトスでショートの鈴木へと渡した。鈴木は二塁を踏み、一塁へ送球。ダブルプレーを完成させ、追加点を許さなかった。来日2年目の助っ人は5回裏にもファインプレーを魅せ、守でチームを救った。

 

 するとロッテは6回表に清田育宏が2点タイムリー、7回表には田村龍弘にも適時打が生まれ、リードを6点に広げる。8回表には清田がレフトスタンドへダメを押す一発を叩き込んだ。守っては6回から松永、益田、大谷、内が1人1イニングでつないだ。リリーフ陣は日本ハムの反撃を1点に抑え、9-3で試合を終わらせた。レギュラーシーズン3位のロッテがまず1勝を挙げ、ファイナルステージ進出へ前進した。

 

(文/杉浦泰介)