現地時間13日、サッカー日本代表(FIFAランキング55位)はイラン代表(同39位)とアザディスタジアム(テヘラン)で親善試合を行ない、1-1で引き分けた。試合は日本がボールを前に運べず重苦しい時間が続いた。前半ロスタイムにDF吉田麻也が相手にPKを与えてしまい先制を許すが、後半3分にMF本田圭佑のクロスにFW武藤嘉紀が合わせて同点に追いつく。その後、日本は選手を次々に投入するも、流れを引き寄せることが出来ないまま、試合は終了した。

 

 南野、後半43分にA代表デビュー(テヘラン)

イラン代表 1-1 日本代表

【得点者】

[イラン] アシュカン・デジャガ(45+2分)

[日本] 武藤嘉紀(48分)

 

 

 試合開始から日本のペースではなかった。パスがつながらずリズムが掴めない。センターバックがボールを持っても、ボランチが受けられずに苦し紛れに長いボールを蹴るだけ。守っては、イランに日本の左サイドを押し込まれてしまい、苦しい展開が続いた。

 

 前半15分以降吉田、MF長谷部誠、MF柴崎岳らが相手のディフェンスラインの裏に意識的にボールを蹴り、相手を押し込もうとするが奏功しない。理由は2点ある。ひとつはイランのフィジカルコンタクトが強いため、ボールを持ってもすぐに潰されてしまっていた。もう1点は相手のDFラインとボランチが非常に近かった。これによりトップの武藤や2列目の選手がボールを持っても、すぐに相手に挟まれてしまっていた。ここでもう少しセンターライン付近でボールをキープできれば、状況は変わったのではないか。

 

 日本は27分、ようやく初めてのシュートを長谷部が放つ。しかし、これは狙った位置が遠過ぎた。ファーストシュートを放ったものの、ゴールには結び付かず、流れを変えるにはいたらない。すると徐々にイランが攻勢を仕掛けてきた。日本は左サイドを攻められ、イランにクロスを上げられる回数が増えていく。

 

 嫌なムードが漂う中、前半アディショナルタイムを迎える。ここでイランのカウンターから吉田がペナルティエリア内で相手を倒し、PKを与えてしまう。PKを一旦はGK西川周作が止めるも、こぼれ球をMFアシュカン・デジャガに詰められ、先制を許してハーフタイムを迎える。

 

 早い段階で追いつきたい日本は、ハリルホジッチ監督が後半の頭からMF香川真司に代え、MF清武弘嗣を投入する。すると3分。MF本田圭佑が右サイドからクロスを上げる。このクロスにセンターバック2枚の間にうまく入った武藤が合わせて、ゴールネットを揺らす。初めてワントップで先発した武藤が結果を出した。

 

 しかし、直後にヒヤリとする場面を迎えた。前半から押され気味だった日本の左サイドからクロスを上げられ、ドンピシャリのヘッドをくらってしまう。シュートは枠をとらえなかったものの、あわや失点というシーンだった。

 

 14分に日本は、自陣でのコーナーキックのこぼれ球を拾った清武がハーフウェーラインまでドリブルで持ち込む。相手を引きつけ、前方のFW宇佐美貴史へパスを送る。宇佐美がワンタッチで武藤につなぐと、武藤はそのままドリブルで快走。相手GKと1対1を迎え、GKをかわしにかかるが、防がれてしまいシュートを打てなかった。

 

 日本は依然として、相手のフィジカルを全面に出した攻撃、サイドからのクロスを止めることが出来ない。日本ベンチも14分以降、FW原口元気、MF柏木陽介、FW岡崎慎司、南野、DF丹羽大輝と交代カードを切り、流れを引き寄せようとするが、試合は動かなかった。43分に出場した期待の南野は、A代表デビューを飾ったが、出場時間も短く見せ場は作れなかった。

 

 結局、試合は1-1の同点のまま終了した。「パスミスが多かった。パスミスが多いと相手にボールを持たれる時間が多くなってしまう」と主将の長谷部が総括したように、パスが繋がらず日本のペースで試合が進められなかった。相手陣内の高い位置でボールを収める戦い方ができれば、また違った試合になっただろう。そのためには前線でキープできる長身FWの発掘が急務である。次戦は約1カ月後。ハリルホジッチ監督に与えられた課題は少なくない。

 

(文/大木雄貴)