16日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦がヤフオクドームで行われ、福岡ソフトバンクが千葉ロッテに3-1で勝利した。ソフトバンクは、3回裏に内川聖一のタイムリーと李大浩の2ランで3点を先行する。先発の中田賢一は、5回に1点を返されたものの、7回途中まで5安打1失点の好投。残りのイニングを千賀滉大、デニス・サファテが完璧に抑えて逃げ切った。ソフトバンクは3連勝で、通算4勝(アドバンテージ1勝を含む)。24日から始まる日本シリーズ進出が決めた。

 

◇ファイナルステージ第3戦

 4番・内川、3日連続の殊勲打(ソフトバンク4勝0敗、ヤフオクドーム)

千葉ロッテ      1 = 000010000

福岡ソフトバンク   3 = 00300000×

勝利投手 中田(1勝0敗)

敗戦投手 石川(0勝1敗)

セーブ  サファテ(1S)

本塁打  (ソ)李大浩2号2ラン

 

 レギュラーシーズンを圧勝したソフトバンクは、ポストシーズンに入っても、その強さを如何なく発揮した。

 

 先発の中田は、初回を三者凡退に切って取ると、2回表には先頭の角中勝也にツーベースを打たれ、いきなり得点圏にランナーを置く。続く福浦和也はライトフライに打ち取ったものの、角中が進塁。1死三塁、外野フライでも1点が入る状況となった。中日時代を含め、CS経験の豊富な中田は、ここからギアを一段階上げたようなピッチングを見せる。ルイス・クルーズ、今江敏晃とファーストステージで当たっているバッターを、得意のフォークでバットを振らせる。連続三振でこのピンチを凌ぎ切ると、3回も三者凡退に抑えてみせた。

 

 試合が動いたのは3回裏。先頭の明石健志が、ロッテ先発の石川歩からライト前ヒットで出塁する。続く今宮健太がバントで送る。シーズンやCSで度々見せてきた手堅い攻撃。柳田悠岐はレフトフライに倒れたが、ここで頼れるキャプテンの登場だ。内川は、前打席でデッドボールを左手首に受けていた。2試合連続決勝打を挙げているだけにマークは当然、厳しくなる。死球直後は温厚な内川にしては、珍しく石川を睨みつけていた。この打席、燃えないわけがない。カウント2-2からの5球目、石川が投じたカーブにうまく合わせた。三遊間を破る当たりに二塁走者の明石は三塁を迷わず蹴った。レフト荻野貴司はバックホーム。2バウンドでキャッチャーミットに届いた。俊足の明石は、タッチより早くホームに滑り込んだ。

 

 4番の一打で先制に成功したソフトバンク。内川を一塁に置いて、李大浩が石川のカーブを振り抜く。第1打席では見逃し三振に切って取られた変化球を右中間方向へかっ飛ばした。今シーズンより新設されたホームランテラス席へと運んだ。2試合連続アーチは、3連勝&日本シリーズへの架け橋を描く。ソフトバンクは3点のリードを奪った。

 

 援護をもらった中田は、5回表に併殺崩れの間に1点を返された。6回表は3人で終わらせたが、7回表には角中にヒット、福浦にはフォアボールを与え、無死一、二塁のピンチを招いた。ここで工藤公康監督は中田から千賀にスイッチ。育成選手出身の22歳は持ち前の速球を武器に力で押した。クルーズをショートゴロゲッツー、今江をサードゴロで仕留める。8回表も任された千賀は、この回もピシャリと抑えた。締めくくりのマウンドは、クローザーのサファテだ。今シーズンのロッテ戦では13試合に投げて防御率0.00。1失点も許していない。パ・リーグのセーブ王は簡単に2アウトを取ると、角中をカウント0-2と追い込む。最後はアウトコースに155キロのストレートがズバッと決まる。見逃しの三振でゲームセット。リーグ王者のソフトバンクは“下剋上”を目論むロッテにスキを与えなかった。

 

 ファイナルステージを突破したソフトバンクは、セ・リーグより一足も二足も先に日本シリーズで待つ。24日からの決戦に向け、指揮官は「ひとつも負けるつもりはなく、全部勝つつもり」と豪語した。日本シリーズの連覇は3連覇(リーグは4連覇)を達成した1992年の西武以来いない。10年以上の時を経て、当時の主力選手である工藤監督が日本シリーズV2に挑戦する。

 

(文/杉浦泰介)