現地時間16日、ボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが米国シカゴで行われ、王者の河野公平(ワタナベ)が同級2位の亀田興毅(K3BOX&FIT)を判定で下した。河野は2度目の防衛に成功した。河野の通算戦績は40戦30勝(13KO)8敗1分け。一方、4階級制覇に失敗した亀田は35戦33勝(18KO)2敗となった。亀田は「この試合がラストマッチ」と現役引退を表明した。

 

 王者の負傷により、約2カ月持ち越しとなった一戦は、王者の意地と経験で挑戦者を退けた。

 

 開始のゴングが鳴ると、亀田は本来のアウトボクシングではなく、接近戦で勝負を挑んだ。「亀田とKOはセット」。自らの言葉を証明しようといていたのか、ラストマッチへの期する思いがそうさせたのか。その真意は定かではないが、挑戦者は打ち合う展開を選んだ。

 

 2ラウンドに試合の局面が一挙に動き出す。2分20秒を過ぎたあたりで、接近戦から亀田が左のボディを数発当てると、ロープ際で河野がしゃがみ込んだ。亀田は右手を挙げてダウンをアピールしたが、レフェリーはローブローの判定でダウンは無効。数十秒間の間を置いて試合は再開された。

 

 直後だった。河野が亀田の左ストレートの打ち終わりを狙う。カウンターの右ストレートは亀田の顔面をヒット。亀田はそのままキャンバスに沈みかけたが、両手をついてバランスをとった。ダウン――。このラウンドの攻防で形勢は王者へと一気に傾いた。

 

 3ラウンドは河野が回転数を上げて手数を増やす。一方の亀田は単発に終わるパンチが目立つ。さらに亀田はボディを狙うが、焦りからか的確に当てられず、2度のローブローとなった。このラウンドで2ポイントの減点を受け、王者優位で序盤を終える。

 

 6ランド終了間際にはゴングが鳴った後も、互いのパンチが交錯した。ローブロー、バッティング、ホールド、クリンチなど荒れ模様のファイトは、7ラウンド途中にレフェリーが一旦試合を止める。「クリーン!」。レフェリーから熱くなっている両者に警告が入る。

 

 9ラウンドには亀田の左ショートフックに河野がグラついた。しかし、そこから亀田が畳み掛けるのではなく、河野のペースは変わらず手を出し続けた。36分間に及ぶ2人の殴り合い。試合を止めたのは、12ラウンド終了のゴングだ。喫したダウン、受けた減点。腫れあがる挑戦者の両目と、どちらが勝者かは明白だった。河野が3-0と判定で王座を防衛した。得意の接近戦で優位に立ち、圧倒的に手数で上回った。

 

(文/杉浦泰介)