17日、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦が行われ、東京ヤクルトが3対2で巨人を下し、14年ぶりに日本シリーズ進出を決めた。ヤクルトは、初回に比屋根渉の二塁打を足がかりに山田哲人のヒットで先制点をあげる。さらにウラディミール・バレンティンの併殺打の間に1点を重ねた。2回裏に比屋根の適時打でリードを3点に広げたヤクルトは、5回表に阿部慎之助のタイムリーヒットで2点を返されるものの、中継ぎ陣が1点のリードを守り抜いた。

 

◇ファイナルステージ第4戦

 真中監督、就任1年目でCS突破!ヤクルト4勝1敗、神宮)

巨人       2 = 000020000

東京ヤクルト   3 = 21000000×

勝利投手 杉浦(1勝0敗)

敗戦投手 ポレダ(0勝1敗)

セーブ  バーネット(2S)

 

 勝てば日本シリーズ進出が決まるヤクルトは、巨人先発サウスポーのアーロン・ポレダ対策として、ファイナルステージ第1戦から第3戦まで1番に置いていた上田剛史に代えて、右の比屋根を起用した。この采配が見事的中し、先制点につながった。

 

 初回、トップバッターの比屋根が二塁打で出塁すると、続く川端慎吾の打球はピッチャーの正面に飛んでいった。しかし、ポレダが二塁へ送球する間に、比屋根は俊足を生かし、三塁へと進む。巨人のミスでいきなり無死一、三塁と先制のチャンスが訪れる。打席に入った山田哲人は3球目を打ち上げた。高く上がった打球は、ライトの亀井善行とセカンドの井端和弘の間にポトリと落ちて、先制適時打となった。畠山和洋が四球を選び、無死満塁とチャンスは続く。バレンティンは併殺打に倒れるが、その間に三塁走者が生還して、さらに1点を追加した。

 

 相手のミスに乗じて先制に成功したヤクルトは、2回裏に追加点を奪う。またもや比屋根の活躍が得点を生んだ。先頭・大引啓次の出塁をきっかけに、2死三塁と再びチャンスをつくった。打席に入った比屋根は6球目をセンター前に運び、リードを3点に広げた。一方、巨人のポレダは、この回を投げ切るとマウンドを降りた。

 

 早々にノックアウトされたポレダに対し、ヤクルトの杉浦は5回2失点と役割を十分に果たした。大卒3年目の右腕はヒットを打たれても冷静だった。今季走者なしでの防御率が2.87だが、走者を背負っての場面だと防御率が1.58と良くなる。その数字通り、走者を出すと一層、闘志に火が付く男だ。2回の1死一、三塁と、3回に1死満塁のピンチをいずれも無失点で凌いだ。5回に2点を返されたものの、杉浦は度々訪れた危機を乗り越える粘り強いピッチングをみせた。

 

 5回が終わって1点のリード。逃げ切りを図りたいヤクルトは、昨日と同様に慎重な継投リレーをみせた。6回表にマウンドに上がったオーランド・ロマンが、1死三塁と一打同点の危機を招くと、ヤクルトベンチはピッチャー交代を決断した。代打・レスリー・アンダーソンのところで、久古健太郎を送った。久古はアンダーソンを遊ゴロに仕留めると、続く堂上剛裕を三振で切って取った。

 

 7回表を久古と秋吉亮とローガン・オンドルセクの3人で無失点に切り抜けると、8回表を回跨ぎとなったオンドルセクが三者凡退で抑えて、9回を迎える。最後の締めは守護神のトニー・バーネットに委ねた。バーネットは、2つのアウトを簡単に取ると、代打・高橋由伸を追い込み、最後は空振り三振に仕留めた。リーグ優勝に貢献したリリーフ陣の活躍でCS突破を決めた。

 

 チームをCS制覇に導いた真中満監督は、レギュラーシーズン同様に胴上げで7度、宙に舞った。試合後の監督インタビューで真中監督は、ファンに向かって「ファンの皆様、おめでとうございます!」と2001年のセ・リーグ優勝時に若松勉監督が口にした名言で球場を沸かせた。

 

 その時以来の日本シリーズ進出を決めたヤクルトは、24日からパ・リーグ王者の福岡ソフトバンクと日本一をかけて戦う。14年前、主力選手として日本一に貢献した真中監督。ソフトバンクの工藤公康監督との新人監督対決にも注目が集まる。

 

(文/安部晴奈)