27日、SMBC日本シリーズ第3戦が行われ、東京ヤクルトが8-4で福岡ソフトバンクを下した。今季本塁打王のヤクルト・山田哲人が3打席連続本塁打を記録し、シリーズ史上初の快挙を成し遂げた。試合は序盤から両チームの点の取り合いとなった。3-4と1点を追いかけるヤクルトは5回裏、この試合3本目となる山田の2ランで逆転に成功する。貴重な1点のリードを4人の中継ぎ陣が守り抜くと、8回裏に畠山和洋のソロ本塁打などでさらに3点を追加した。最後は守護神のトニー・バーネットが三者凡退で締めた。勝利したヤクルトは対戦成績を1勝2敗として、明日の第4戦を迎える。

 

◇第3戦

 盤石のリリーフ陣が無失点リレー(東京ヤクルト1勝2敗、神宮)

福岡ソフトバンク 4 = 020110000

東京ヤクルト   8 = 20102003×

勝利投手 ロマン(1勝0敗)

敗戦投手 千賀(0勝1敗)

本塁打 (ソ)今宮1号ソロ、明石1号ソロ

    (ヤ)山田1号2ラン、2号ソロ、3号2ラン、畠山2号ソロ

 

 敵地で連敗を喫し、追い込まれていたヤクルトが本拠地で息を吹き返した。今季トリプルスリーを達成したヤクルト・山田が3打席連発の大暴れ。81年の歴史を誇るプロ野球において、日本シリーズで1試合に3打席連続本塁打は史上初である。この日は両チーム合わせて6本のホームランが飛び出す乱打戦となった。最後に勝敗を分けたのは、盤石なリリーフ陣を揃えるヤクルトの投手力だった。

 

 試合は初回から動いた。ヤクルト先発・杉浦稔大は、1死一、二塁で迎えた李大浩と松田宣浩を得意のフォークで2者連続三振に仕留める。ピンチのあとにはチャンスあり。その裏、先頭の上田剛史が四球で出塁し、続く川端慎吾がライトライナーに倒れる。打席には、日本シリーズでいまだ7打数1安打の山田哲人が入った。シーズンの活躍が嘘のように沈黙していた山田だったが、慣れ親しんだ神宮で甦る。ソフトバンク先発・中田賢一が投じた5球目のスライダーをバックスクリーン左へ叩き込んだ。ホームラン王の山田に待望のアーチが生まれ、ヤクルトは先制点をもぎ取った。

 

「やられたらやり返す!」とばかりに直後の2回表にソフトバンクが反撃する。6番の中村晃のヒットを足がかりに、2死二、三塁と下位打線が得点のチャンスをつくり、1番の福田秀平に打席を回した。すると、福田に投じられた2球目がホームベース手前でワンバウンド。ボールが逸れた間に、三塁走者の今宮健太が生還した。ヤクルトバッテリーのミスで1点を取り返すと2死三塁、福田は、ライトへタイムリーヒットを放った。確実にチャンスをモノにしたソフトバンクはあっという間に同点に追いついた。

 

 3回裏と4回表に両チーム1本ずつソロホームランが飛び出す。3回裏に第1打席で先制弾を放った山田が、今度は中田のストレートをバックスクリーンに放り込んだ。4回表には、先頭の今宮健太が山田に負けじと杉浦の4球目をバックスクリーンに同点本塁打をぶち込んだ。

 

 5回表に杉浦は再び先頭バッターに被弾。明石健志にソロ本塁打を打たれた後、李に死球を与えたところで、ヤクルト真中満監督はオーランド・ロマンをマウンドに送り込む。ヤクルトが誇る強力ブルペン陣のひとりのロマンは、松田と中村を6球で打ち取り、ベンチの期待に応えた。

 

 ロマンが攻撃のリズムをつくると、5回裏に新たな記録が誕生する。2死から川端が四球で出塁すると、山田の打席で、ソフトバンクは中田に代えて、クライマックスシリーズで見事なリリーフをみせた千賀滉大を投入した。山田vs.千賀。同学年対決を制したのは、山田だった。カウント3-1から千賀が投じた5球目をレフトスタンドへ運ぶ。「ホームランは狙っていなかった。自分のバッティングをしようと思った」と話した山田は、3打席連続本塁打という偉業を逆転2ランで達成した。

 

 再びリードを奪ったヤクルトは、慎重な継投リレーをみせる。6回は石山泰稚、7回は回跨ぎで石山と久古健太郎、8回は回跨ぎで久古とローガン・オンドルセクが無失点で切り抜けた。

 

 8回裏、山田に4打席目が回ってくると、球場の注目は背番号23に注がれる。だが、ソフトバンク4番手の五十嵐亮太に三振に仕留められ、新記録には至らなかった。しかし、直後の畠山和洋がレフトスタンドへ叩き込むと、続く雄平はツーベースを放ち、このシリーズ初ヒットを記録した。雄平のヒットをきっかけに2死一、三塁から中村悠平が走者一掃のタイムリーツーベースを放ち、山田の三振に落胆したヤクルトファンを再び沸かせた。

 

 4点リードで迎えた最終回は、守護神のバーネットが幕引き役を務めた。今季のセーブ王は簡単に2つのアウトをとると、最後は代打・吉村裕基をショートフライに打ち取って、危なげなく試合を終わらせた。勝利したヤクルトは、第2戦まで打線のブレーキとなっていた山田の復活が大きい。未だにウラディミール・バレンティンが無安打なのが非常に気がかりなところではあるが、5番・雄平にもシリーズ初ヒットが生まれるなど、打撃面は復調の兆しを見せている。第4戦の先発は、館山昌平が予想されている。盤石なリリーフ陣が揃っているヤクルトにとって、館山が最低でも5回を投げ切ることが、勝敗を五分にするためのキーポイントとなるだろう。

 

(文/安部晴奈)