28日、SMBC日本シリーズ第4戦が行われ、福岡ソフトバンクが6-4で東京ヤクルトを制した。ソフトバンクは4番・李大浩の2打席連続タイムリーヒットなどで、序盤から5点をリードした。4回裏に1点を返されたものの、6回表に細川亨のソロ本塁打が飛び出す。再び突き放した直後の6回裏に上田剛史のタイムリーで2点差に詰め寄られた。逃げ切りを図るソフトバンクは7、8回を千賀滉大がゼロで抑え、最終回は守護神のデニス・サファテがゲームを締めた。対戦成績を3勝1敗としたソフトバンクは、球団初の2年連続日本一へ王手をかけた。

 

◇第4戦 

 千賀、前夜の雪辱果たす好救援(福岡ソフトバンク3勝1敗、神宮)

福岡ソフトバンク   6 = 104001000

東京ヤクルト     4 = 000103000

勝利投手 摂津(1勝0敗)

敗戦投手 館山(0勝1敗)

セーブ  サファテ(1S)

本塁打 (ソ)細川1号ソロ

 

 ソフトバンクが、ヤクルトに打撃力の差をみせつけた。第3戦で首の痛みを訴えて途中交代をした李が4打数3安打4打点とチャンスの場面で走者を還す4番の仕事をきちんと果たした。ソフトバンク監督・工藤公康は、勝利後のインタビューで「まさに李大浩さまさまだった」と主砲の活躍を称えた。

 初回、ソフトバンクはヤクルト先発の館山昌平に襲い掛かる。先頭打者の福田秀平と柳田悠岐が四球で出塁すると、1死一、二塁で李がライトへタイムリーヒットを放ち、ゲーム開始早々に先制点を奪う。すると、3回表に再び李がチャンスをモノにした。この回先頭の福田がヒットで出塁すると、続く明石健志と柳田が四球を選んで無死満塁で李に打席を回す。1打席目に適時打を放った李は、カウント2-1から4球目を左中間へと弾き返す。走者一掃のタイムリーツーベース。李は二塁上で大きく拳を挙げて喜びを爆発させた。その後、細川にもタイムリーが生まれるなど、4点を追加してヤクルトを突き放した。

 ヤクルトの館山は、3回裏に代打を送られる。今季見事な復活を遂げた34歳の右腕は、3回4安打4四球5失点で、スターターの役割を果たせなかった。一方、ソフトバンク先発・摂津正は、3回まで毎回ランナーを許すも、ヤクルト打線に得点を与えなかった。しかし、4回裏に先頭のウラディミール・バレンティンにヒットを打たれる。今浪もヒットで続くと、中村悠平のセカンドゴロの間に1点を返される。

 6回表にソフトバンクは、女房役の細川がヤクルト3番手の松岡健一からレフトスタンドへ放り込む。貴重な追加点を奪い、再びリードを5点に広げた。その裏、ヤクルトは食らいつく。6回裏、先頭のバレンティンが2打席連続でヒットを放ち出塁すると、今浪は四球、中村はヒットでつなぐ。無死満塁の大チャンスをつくった。

 ここでソフトバンクのベンチが動いた。工藤監督は摂津に代えて、第4戦まで温存しておいたセットアッパーの森唯斗を送り込む。森は代打・田中浩康を三振に仕留めるが、続く上田に直球をレフト線へ運ばれて2点を返される。なおも1死二、三塁のピンチは続き、川端慎吾のショートゴロの間に三塁走者が生還した。6-4と2点差に迫られ、2死三塁で昨夜3打席連続ホームランの偉業を達成した山田哲人を迎えた。神宮に詰めかけたファンは、山田の連夜の一発に期待をしたが、一転してため息に変わる。森は山田をサードゴロに打ち取り、2点のリードを守り抜いた。

 7、8回はリリーフの切り札・千賀がいずれも三者凡退で仕留める。第3戦は山田に3本目のホームランを打たれ、引き立て役となったが、今日は本来のピッチングが蘇った。150キロを超えるストレートを主体として強気の投球で、ヤクルト打線を完璧に抑える。中継ぎの役割を十二分に果たし、最終回はサファテにバトンを託した。

 マウンドに上がったサファテは、上田をショートゴロに抑えて簡単に1アウトを取る。続く川端は、サードへのボテボテの当たりが内野安打となり出塁を許す。1死一塁でバッターは山田を迎え入れる。パ・リーグのセーブ王は、今季本塁打王の山田をフォークボールでピッチャーゴロに打ち取り、2アウト。ゲームセットまであと1アウトとするが、畠山和洋に四球を与えてしまう。2死一、二塁と一発逆転の場面で、打席には雄平が立つ。フルカウントまでもつれた8球目、鷹の守護神は燕党たちの淡い期待をも打ち消した。雄平を154キロの高めの直球で空振り三振に仕留め、6-4でソフトバンクが逃げ切った。

 試合後、お立ち台に上がった李のほかに、この試合で光る活躍をしたのがスタメンマスクを被った細川である。6回表に細川が放ったソロ本塁打は、1点以上の価値ある追加点だった。再び5点差にリードを広げたことで、直後に3点を返されても、まだ2点の余裕があった。1点差と2点差では、無失点に抑えた千賀とサファテの心境は大きく違っていただろう。第5戦、ソフトバンクの先発はジェイソン・スタンリッジが予想されている。日本一まであと1勝としたソフトバンクは、2年連続2ケタ勝利を挙げた助っ人右腕で一気に決めたい。

 

(文/安部晴奈)