5日、明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝第2戦がエディオンスタジアム広島で行われた。サンフレッチェ広島(年間1位、2ndステージ優勝)はガンバ大阪(年間3位)に1-1で引き分けた。試合は前半27分にMF今野泰幸のCS3戦連続のゴールでG大阪が先制する。広島は後半31分にFW浅野拓磨の得点で追いついた。このままのスコアで終了し、第1戦を3-2で制した広島が年間チャンピオンに輝いた。広島は10日から開幕するFIFAクラブワールドカップジャパン2015に出場し、オセアニア代表のオークランド・シティFC(ニュージーランド)と対戦する。

 

 浅野、途中出場で値千金の同点ヘッド(エディオン広島)

サンフレッチェ広島 1-1 ガンバ大阪

【得点】

[G大阪] 今野泰幸(27分)

[広島] 浅野拓磨(76分)

 

 広島が年間1位の意地を見せた。前掛かりに攻めてきたG大阪に対し、受けに回ってしまい苦しんだがきっちり結果を出した。

 

 ホームの第1戦を2-3で落としたG大阪は、2点差以上もしくは、4得点以上で勝利をしないと逆転できないため、前半から仕掛けた。8分にMF阿部浩之のクロスにMF大森晃太郎のヘッドで合わせる。20分には阿部のサイドチェンジを左サイドで受けた大森がキープしてつなぎ、DF藤春廣輝がシュートを放つ。いずれもゴールにはならなかったが、サイドハーフとサイドバックが果敢に広島のゴール前に侵入して決定機を作った。

 

 27分、均衡を破ったのはG大阪の背番号15だった。DF米倉恒貴が獲得した右CKをMF遠藤保仁がファーサイドに蹴る。今野がインサイドキックで合わせたボールは広島DFに当たり、ゴールに吸い込まれる。今野のCS3試合連続となるゴールで、G大阪が先制に成功する。

 

 広島は第1戦で3つのアウェーゴールを奪ったアドバンテージがある。攻め込まれる展開が続いても慌てることはなかった。試合も徐々に落ち着き始め、G大阪1点のリードのまま、前半を終える。

 

 ハーフタイムで広島の森保一監督は「リードされているどうこうよりも受けてしまっている。我々らしく足を動かして、走ろう。まずはこの舞台で持っている力を出しきろう」と選手に檄を飛ばす。G大阪の長谷川健太監督は「非常に切り替えも良かったし、気持ちの入った前半だった」と納得の様子。両監督のコメントからもわかるように、前半はG大阪優位だった。

 

 後半に入ると、両チームのベンチワークを機に試合が動く。12分に、両チームとも最初の選手交代を行う。広島は、佐藤に変えて俊足FWの浅野を投入。G大阪は大森に代えてテクニックに長けるMF倉田秋をピッチへ送り込む。倉田がトップ下に入り、トップ下を務めていたMF宇佐美貴史は左サイドハーフへ回った。

 

 この交代策は広島が奏功する。18分、広島がG大阪の攻撃を凌いで大きくクリアー。このボールを拾った浅野が1人でゴール前までドリブルでもっていく。ゴール前でなんとかDF丹羽大輝が止めるも、独力でチャンスを作れる浅野のスピードにG大阪DF陣は肝を冷やした。

 

 19分、再び両ベンチが揃って動く。広島の森保監督はミキッチに代えて第1戦で逆転ゴールを決めたMF柏好文を入れる。一方のG大阪の長谷川監督はFW長沢駿に代えてフィジカルの強いFWパトリックを選択した。広島はサイドの活性化、G大阪はパトリックが1トップに入り、中央強化を図った。両名将のカードの切り合いも、この短期決戦を盛り上げる。

 

 お互いに体力を消耗し合い、オープンな展開になってきた31分、森保監督の采配がまたもや的中する。柏が右サイドからクロスを入れると、G大阪DFとの競り合いに勝った浅野がヘディングでゴール左に決めた。戦況を見て、森保監督がピッチに送り出した2人が見事に結果を残した。

 

 同点に追いついて以降、広島はG大阪のパワープレーに対し、サイドハーフの清水航平に代えてDF水本裕貴を投入するなど、冷静に対応した。G大阪の反撃を抑え、1-1のまま試合終了を迎えた。

 

 2年ぶりのJリーグチャンピオンに返り咲いた森保監督は「広島の皆さん、優勝おめでとうございます!」と目を赤くさせながら喜びを爆発させた。「チームのためにみんなが自己犠牲を払ってやってきてよかった」と選手たちを称える。MVPに選出された主将・青山敏弘も「みんなの力で獲れた優勝だと思っています。土砂災害で被害に遭われた方たちに良い報告をしたかった」と語ったようにチーム一丸となって栄冠を掴んだ。

 

 広島の優勝で幕を閉じた2015年のJ1リーグ。年間を通して安定感抜群だった。毎年主力が他チームに引き抜かれていく中で、監督就任4年で3度のリーグ優勝を成し遂げた森保監督の手腕は光る。クラブW杯へ開催国枠チームとして出場権を得た広島は、10日にオークランド・シティFCと開幕戦で激突する。中4日と日程はタイトだが、3年ぶりに出場する広島にはJリーグ代表としての意地を見せてほしい。

 

(文/大木雄貴)