16日、クラブワールドカップの準決勝が大阪・長居ヤンマースタジアムで行われ、J1王者のサンフレッチェ広島(開催国枠)が南米代表のリバープレート(アルゼンチン)に0-1で敗れた。前半は広島が粘りを見せて、リバープレートにチャンスらしいチャンスを作らせなかったが、後半27分にセットプレーからFWルーカス・アラオリにヘッドで先制点を許す。その後、ベンチに温存させていたFW佐藤寿人を投入するも、最後までゴールを破ることはできなかった。敗北を喫した広島は、20日に神奈川・日産スタジアムでの3位決定戦にまわる。

 

 前半のカウンターの好機を活かせず(長居スタジアム)

サンフレッチェ広島 0-1 リバープレート

【得点】

[リバープレート] ルーカス・アラリオ(72分)

 

 森保一監督は佐藤、MFミキッチをベンチに置いてFW皆川佑介、MFを先発で送り出した。前半から両者、球際が激しく見応えのある戦いだった。

 

 時間の経過とともに広島は落ち着きを取り戻していく。ブロックを作って引いて守り、奪っては前線へ大きく蹴り出し、多くのチャンスを作った。

 

 22分、MF柏好文が中盤右サイドでボールを持つと、シンプルにDFラインの裏へロングボールを送る。縦パスに反応したMFドウグラスが、右足でシュートを放つも相手の体の張った守備に阻まれた。

 

 26分にも柏のロングボールから、皆川が飛び出して左足で合わせるが、GKマルセロ・バロベロに好セーブされる。31分にはセンターサークル内でボールを受けたMF青山敏弘がスルーパスを出す。このパスをペナルティエリア手前の右サイドで受けたドウグラスがダイレクトで折り返した。ノーマークだった皆川が走り込み、懸命に足を伸ばすが、惜しくも届かない。得点には結びつかなかったが、広島優位の時間が続いた。

 

 40分にも好機を作った。ドウグラスが敵陣右サイドでボールをもって青山へパス。青山はDFの一瞬の隙をつき、ゴール前の皆川へ高速のラストパスを送る。皆川はトラップをして強烈なシュートを打つが、またしても相手GKの好守に阻まれた。前半にカウンターから多くのチャンスを作った広島だったが、スコアレスで試合を折り返した。

 

 後半が始まってすぐ、南米王者がビックチャンスを作った。4分、右サイドの深い位置からDFガブリエル・メルガドがシュート性の低いクロスを上げると、ファーサイドのアラリオがダイレクトで折り返す。最後はFWロドリゴ・モラが右足を振り抜くも、ゴール上にふかしてしまう。左右に素早く揺さぶられた広島DF陣は後手を踏んでしまった。

 

 流れを引き寄せたい森保監督は21分に皆川に代え、FW浅野拓磨を投入する。指揮官は準々決勝で得点を決めた若手のホープに託した。

 

 しかし、27分、南米王者がついに牙をむく。ゴールから遠い位置の右サイドでFKを獲得したリバープレート。MFカルロス・サンチェスがゴール前に山なりのボールを送ると、GK林卓人とDFホナタン・マイダナが競り合う。こぼれ球にいち早く反応したアラリオが頭で押し込んだ。待望の先制点はアルゼンチンの名門クラブに入った。

 

 追いつきたい広島は31分にMF茶島雄介に代えて、点取り屋の佐藤をピッチに送り込んだ。ゴール前でボールを受けようとする佐藤だったが、味方と息が合わない。Jリーグ通算最多得点記録を更新したエースも最後まで見せ場をつくることができず、このまま試合終了の時を迎えた。

 

 惜敗した広島は、もう1つの準決勝のFCバルセロナ(スペイン)vs.広州恒大(中国)の敗者と中3日で3位決定戦を戦う。Jクラブ初の決勝進出はならなかったが、最後は勝って終わり、26日に行なわれる天皇杯準々決勝に弾みをつけてほしい。

 

(文/大木雄貴)