1日、第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝が東京・味の素スタジアムで行なわれ、ガンバ大阪(J1)が浦和レッズ(J1)を2−1で下して、2年連続5度目の天皇杯王者に輝いた。試合は前半32分、カウンターからFWパトリックがゴールを決めて、G大阪が先制する。一度は浦和のFW興梠慎三に同点弾を許したが、後半8分にパトリックがゴールネットを揺らし、再び勝ち越す。追いすがる浦和をG大阪が振り切った。

 

 決定機生かせず、9年ぶりのタイトル逃す

ガンバ大阪 2-1 浦和レッズ(味の素スタジアム)

【得点】

[G大阪] パトリック(32分、53分)

[浦和] 興梠慎三(35分)

 

 開始早々、いきなりG大阪が浦和ゴールを脅かす。前半4分、左サイドでMF宇佐美貴史がドリブルで3人を振り切り、ゴール中央のパトリックへラストパスを送る。パトリックがDF槙野智章と競りながら放ったスライディングシュートはクロスバーを叩いた。

 

 8分には浦和のFW李忠成がDF藤春廣輝のバックパスをカットして、興梠へのクロスを狙うも、ギリギリのところでDF丹羽大輝がインターセプトをして難を逃れる。スタート直後から互いにビッグチャンスを作るエキサイティングな立ち上がりとなった。しかし、この間にボールとは関係ないところでDF米倉恒貴が右太ももを故障。MF井手口陽介と交代を余儀なくされる。

 

 序盤に負傷者が出て、ベンチワークが苦しくなる中で、先制したのはG大阪だった。35分に中盤右サイドでボールを奪うと、MF倉田秋がミドルパスで浦和DF陣の裏へパスを送る。そこに走りこんでいたパトリックがペナルティエリア付近でボールを収めた。そのままドリブルで敵陣深くに侵入すると、カバーに入ったDF森脇良太を振り切る。GKと1対1になり、ニアサイドを撃ち抜いた。G大阪が見事な速攻で貴重な先取点をゲットした。

 

 前半で追いつきたい浦和は、すぐさま反撃に出る。失点から3分後、右サイドの高い位置でボールを持ったMF梅崎司はクイックネスの効いたターンでマークに来た宇佐美を振り切ってクロスを送る。ニアサイドに飛び込んだ李のヘディングは左ポストに阻まれるが、詰めていた興梠がGK東口順昭の頭上をぶち抜く強烈なシュートを叩き込んだ。浦和は先制を許した直後に追いつくことに成功した。試合は互いに譲らず1-1のスコアで折り返す。

 

 後半8分、再びパトリックが躍動する。MF遠藤保仁が右CKを蹴った瞬間だった。ファーサイドで槙野とポジション争いをしていたパトリックは巧みな動きでマークを外す。あとはフリーでニアへ走り、ゴール左に綺麗に流し込んだ。負傷により、すでに交代枠を1つ使っているG大阪にとって、大きな決勝点となった。

 

 失点直後、浦和のミハイロ・ペトロビッチ監督はFWズラタン、MF関根貴大を2枚同時に投入して攻撃に厚みを持たせる。一方、再度リードを奪ったG大阪の長谷川健太監督は、守備に難のある宇佐美を2トップの一角に置き、倉田を左MFにポジションをシフトする。4-5-1から4-4-2にシステムを変更し、カウンター狙いを徹底する。

 

 ズラタンの高さを活かしたヘッドや、槙野らがシュートを放つも、G大阪は守護神・東口を中心にゴールを割らせない。4-4-2に布陣を変えたことも奏功し、試合は2-1のままタイムアップ。G大阪が天皇杯連覇を達成した。

 

 G大阪はJ1リーグ2位、ナビスコカップ準優勝、アジアチャンピオンズリーグベスト4と惜しくもタイトルを逃し続けてきた。長谷川監督は「サポーターに悔しい思いをずっとさせてきたので、選手たちがなんとか、最後、サポーターに優勝の味をと頑張ったことがこういう結果になった」と頬を緩めた。2ゴールを決めて、優勝の立役者となったパトリックは「本当にチーム全員がタフに戦った。決勝のために一生懸命、みんなで練習してきた」と語った。

 

 昨シーズン3冠のG大阪が最後に意地を見せ、来たる2016シーズンに弾みをつけた。

 

(文/大木雄貴)