11日、第94回全国高校サッカー選手権大会決勝が埼玉スタジアム2002で行われ、東福岡(福岡)が國學院久我山(東京)を5対0で下し、17年ぶりの優勝に輝いた。試合は前半36分にMF三宅海斗(3年)のゴールで東福岡が先制。後半に入ると、東福岡はMF中村健人(3年)の得点を皮切りにFW餅山大輝(3年)、MF藤川虎太郎(2年)が立て続けに國學院久我山からゴールを奪った。最後は中村がこの日2点目を決めて東福岡が國學院久我山に圧勝した。

 
 6校目の夏冬連覇達成(埼玉スタジアム)
 東福岡 5-0 國學院久我山
 【得点】
 [東福岡] 三宅海斗(36分)、中村健人(47分、80分)、餅山大輝(67分)、藤川虎太郎(70分)
 
    青空の広がる埼玉スタジアムに54,090人もの観客が詰めかけた。高校サッカー選手権決勝。両校の立ち上がりはこの舞台に相応しい攻防だった。

 前半8分、東福岡はDFラインの裏に抜け出した餅山がペナルティエリア内でシュートを放つも、國學院久我山のDF野村京平(3年)がスライディングでブロックした。13分には東福岡の中村が意表をついたロングシュートを打つが、今度はGK平田周(1年)がセーブする。

 18分、國學院久我山は左サイドに開いたFW澁谷雅也(2年)がドリブルで敵をひきつけ、ペナルティエリア中央のMF名倉巧(2年)へつなぐ。名倉はシュートを打つと見せかけて右サイドを上がってきたFW内桶峻(3年)にラストパスを送る。内桶がシュートを放つも、U-18代表の守護神・脇野敦至(3年)がファインセーブを見せた。

 一進一退の好ゲーム。均衡を破ったのは東福岡だった。36分、ペナルティエリア内で藤川がボールを持つと右サイドをフリーで上がってきた三宅へ丁寧なラストパスを出す。三宅はこれを得意の左足で確実にミートする。ボールはGKの脇をすり抜けて、先制ゴールが決まった。

 待望の先制点を奪った東福岡は後半に入ると、一気に國學院久我山ゴールに襲いかかる。
 
    2分、ゴール中央やや右、約20メートルの位置で東福岡がFKを獲得する。キッカーは中村。「蹴り方を変えた」と、低い弾道でゴール左を狙ったボールはGKが触ることさえできず、綺麗にネットへと吸い込まれた。“ヒガシ”の司令塔が後半開始早々に大きな追加点チームにもたらした。

 この得点でリズムに乗った東福岡は、12分にロングボールに抜け出した餅山が技ありループを左足で決めた。
 
   その3分後にはDF児玉慎太郎(2年)がMF鍬先祐弥(2年)とのワンツーで右サイドを崩し、グランダーのクロスを供給する。餅山がニアでスルーをすると、藤川が冷静にゴール左へ流し込んだ。

 東福岡のゴールラッシュの締めくくりは背番号10だ。35分には餅山からパスを受けた中村がペナルティエリア手前で右足を一閃。美しい軌道を描いたボールはゴール右に突き刺さった。東福岡が5-0の圧勝で試合は終了した。

 優勝に導いた森重潤也監督は「久我山は良いサッカーをしていて、試合ごとに強くなっていた。それ以上にウチの選手たちが頑張ってくれた。チームを立ち上げた当初は『大丈夫か?』ってくらい不安材料があったが、頑張った」と選手たちをねぎらった。新チームは“最弱”と呼ばれた世代だった。終わってみればインターハイと選手権の2冠を手にした。主将の中村は「つらい時、攻められている時は応援席を見るようにしていた。(最弱と言われていた)その評価を覆すために頑張ってきた」と笑顔で話した。

 東福岡の夏冬2冠で幕を閉じた高校サッカー。2020年東京オリンピックの開催時、年齢的にはこの世代が中心となる。選手たちがより逞しくなって、4年後の東京で大暴れしてくれることを期待したい。

(文/大木雄貴)