カープのOBの川口和久は巨人で4シーズン、ピッチングコーチを務めた。うち3シーズンでリーグ優勝を果たした。

 

 その川口にカープのドラフト1位ルーキー岡田明丈が投げているシーンを、ユーチューブで見てもらった。

 

 最初の印象は「腹筋を使っていない」というものだった。どこを見ればわかるのか?「後ろ足がパッと逃げるでしょう。体幹が弱く、腹筋を使えていないから、そうなるんです。今は上からパタンと投げているだけの感じ。腹筋を使えば、もっとスピードが出ますよ」

 

 いいピッチャーは例外なく後ろ足で粘れる。右ピッチャーなら、右ヒザに土が付く。スカウトがピッチャーの“品定め”をする際に、よく指摘するポイントだ。

 

 川口は続ける。
「後ろ足が粘れれば、リリースの瞬間、グッとボールを押し込める。また、そうやって投げたボールは体重が乗っているため重いんです。岡田君の場合、まだまだボールに体重が乗り切っていない。今のままなら、ちょっと球質は軽いかもしれませんね」

 

 川口の厳しい指摘は期待の裏返しでもある。未完成品の今でさえストレートはゆうに150キロを超える。鍛え込めば、「3キロから5キロはアップする」と説明する。

 

 当面は腹筋を中心とした体幹と下半身の強化に努めるべきだろう。投げ込みは体ができ上がってからでも遅くはない。大物感漂うドラ1ルーキーだけに、将来を見据えて大切に育ててもらいたいものだ。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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