現地時間16日、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」がカタール・グランドマハドスタジアムで行われた。グループB首位のU−23日本代表は同2位のタイ代表と対戦。日本は前半27分にFW鈴木武蔵が先制ゴールを決めた。後半4分にはMF矢島慎也が頭で押し込み、追加点を奪う。さらに途中出場したFW久保裕也が2ゴールを決めてスコアを4-0として、日本がタイを下した。日本は勝ち点を6にし、グループステージ1試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。

 

 手倉森監督、選手起用が奏功(カタール・グランドマハドスタジアム)

U-23日本代表 40 U-23タイ代表

【得点】

[日] 鈴木武蔵(27分)、矢島慎也(49分)、久保裕也(75分、84分)

 

 日本は1-0で勝利した初戦からスタメンを6人入れ替えて臨んだ。試合序盤こそタイの小気味良いパス回しに手を焼いたが、時間の経過とともに落ち着いて対処した。すると前半8分はFW浅野拓磨のシュートが左ポスト、9分にはMF豊川雄太のヘッドがバーを叩く。この日、スタメンで起用された2人が立て続けに決定的なチャンスを作った。

 

 27分、MF遠藤航が浮き球のパスでDFラインの裏を狙う。鈴木は左腕で相手をうまくブロックしながらワントラップし、右足でボレーを放つ。鈴木の鋭いシュートはゴール右に突き刺さった。日本は先制に成功して前半を終えた。

 

 勝てば決勝トーナメント進出が決まる日本は、後半開始早々に追加点を奪う。4分にMF原川力が左サイドの深い位置からセンタリングを上げると、矢島が頭で押し込んだ。得点に絡んだ2人も初戦から入れ替えたメンバー。手倉森誠監督の起用に応えた。

 

 一気に畳みかけたい日本だったが、7分に最大のピンチを迎える。DF亀川諒史が競り合いの対応で反則を取られてPKを与えてしまう。しかしキッカーのMFティティパン・プアンチャンがキックの際に足を滑らせ、PKを失敗する。スリッピーなグラウンドに日本は救われた。

 

 タイに流れを渡さないために手倉森監督は26分に交代を決断する。指揮官は浅野に代えてFW久保裕也をピッチに送った。すると、この交代策が見事に的中する。出場からわずか4分後、DF岩波拓也が見事なインターセプトをすると、そのままドリブルでボールを運ぶ。岩波が右サイドへラストパスを送ると、いち早く反応した久保がペナルティエリア内でGKと1対1の場面を迎える。久保が放ったシュートはGKに当たるが、勢いそのままにボールはゴールへと吸い込まれた。

 

 久保の勢いは止まらない。38分、ペナルティエリア左でDFと対峙した久保はボールと相手の間にうまく体を入れてファウルをもらう。PKを獲得した久保自らがキッカーを務める。久保は冷静にGKの逆をつき、ゴール左に決めた。日本はリードを4点に広げた後も押し気味に試合を進めてタイムアップを迎えた。

 

 試合後に手倉森監督は「メンバーを替えて戦って総合力を示せたので非常に良かった。アタッカーが点を取ってくれたので、これからの戦いにみんなが勢いを持ってやってくれればなと思います」と笑顔で振り返った。今後の戦いについてはこう述べた。「コンパクトなサッカーを心がけて、ショートカウンターで手数をかけない攻撃と、ポゼッションをコントロールしたゲームができればいい」

 

 日本は1週間で3試合をこなさなければならない過密日程の中、グループステージ1試合を残して決勝トーナメントに駒を進めたことは大きい。19日のサウジアラビア戦には、遠藤ら2戦連続で先発したメンバーを休ませることも可能になる。ここでのターンオーバーが決勝トーナメントに入ってから大きく響いてくるはずだ。

 

(文/大木雄貴)