現地時間19日、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」がカタール・ドーハで行われた。グループB組首位通過が確定している日本代表はMF遠藤航、DF岩波拓也ら主力を休ませながらも、サウジアラビア代表を2-1で破った。日本は前半31分にMF大島僚太が先制ゴールを決めると、後半8分にはMF井手口陽介が追加点を奪う。12分にサウジアラビアのDFアブドゥラ・マドゥーに1点を返されたが、反撃を1点に抑えた。決勝トーナメントに臨む日本は、22日にグループA2位のイラン代表と対戦する。

 

 南野、2アシストの活躍(カタール・ドーハ)

U-23日本代表 2―1 U-23サウジアラビア代表

【得点】

[日] 大島僚太(31分)、井手口陽介(53分)

[サ] アブドゥラ・マドゥー(57分)

 

 決勝トーナメントを既に決めている日本と、本日の結果次第でグループリーグ敗退もあり得るサウジアラビアの一戦。その差はスターティングメンバーの顔触れに表れた。前節のタイ戦から10人を入れ替えた日本は、サウジアラビアの左サイドのMFファハド・アルムワラドのスピードとFWアブドゥラハマン・アルガムディのテクニックに手を焼いた。

 

 前半22分、アルガムディの個人技でDF奈良竜樹が振り切られゴール前に侵入されるが、ぎりぎりのところでDF植田直通が防ぐ。25分にはロングボールに快速を飛ばして追いついたアルムワラドがシュートを放たれたものの、なんとかDF松原健が足先でコースを変えた。

 

 サウジアラビアのカウンターに手こずる日本だったが、一瞬の隙を突いた。31分、相手のパスミスを敵陣で拾ったFW南野拓実がフォローに入った大島へボールを預ける。ドリブルで1人かわした大島はゴールまで約40メートルの距離で右足一閃。目の覚めるような強烈なロングシュートは無回転気味でゴール左へ突き刺さった。

 

 後半に入ると初先発の井手口が結果を出す。8分、右サイドでボールを持った南野が2人をドリブルでかわして中央に走りこんだ井手口へラストパス。井手口はダイレクトでゴール左を狙いすました。ボールはネットを揺らし、リードを広げた。

 

 その後は、負ければ決勝トーナメント進出に赤信号が灯るサウジアラビアの反撃を食らう。12分に微妙なジャッジでサウジアラビアにPKを与えてしまうと、このPKをマドゥーに決められた。日本は今大会初失点を喫したが、失点はこの1点で逃げ切った。

 

 試合後に手倉森誠監督は、「誰が出ても勝てるようになってきた。(このチームに)可能性を感じている」とグループステージを総括した。過密日程をターンオーバー制で乗り切った。準々決勝からは、負ければ終わりの一発勝負。「しびれる試合になると思うので、国民の皆さんの後押しを感じながら戦いたい」と語った。

 

 日本はリオ五輪出場の切符をかけて決勝トーナメントに駒を進めるが道のりは険しい。アジアの枠は3つしかない。ファイナリストになった時点でリオ行きは確定するが、準決勝で敗れた場合は3位決定戦に回る。そこで勝利を収めなければ、リオへの道は潰えてしまう。まずは22日の準々決勝でイランを叩かないと何も始まらない。

 

(文/大木雄貴)