現地時間22日、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」の準々決勝がカタール・ドーハで行われた。グループBを首位通過した日本代表は、グループA2位のイラン代表と対戦。試合は90分をスコアレスで終え、延長戦へ突入する。日本は前半6分に、途中出場・MF豊川雄太のヘディングで先制。後半3分、4分と中島翔哉が立て続けにゴールを奪った。3-0で勝利した日本は準決勝に駒を進め、UAEとイラクの勝者と26日にリオ五輪の切符を賭けて戦う。

 

 明大生・室屋、好クロスで得点演出(カタール・ドーハ)

U-23日本代表 3―0 U-23イラン代表

【得点】

[日] 豊川雄太(96分)、中島翔哉(108分、109分)

 

 まず鬼門を突破した。日本は2年前のU-22アジア選手権、同年のアジア大会といずれも準々決勝で敗退していた。その壁を破り、リオ五輪まであと1勝とした。

 

 開始直後、日本はイランのカウンターに手を焼いた。前半2分、ワントップのアルタサン・モタハリにDFラインの裏を取られ、ミドルシュートを打たれる。ここはGK櫛引政敏がセーブした。5分にもモタハリに再度、裏を狙われるが日本はオフサイドに救われる。

 

 対する日本は7分に右CKを獲得すると、MF原川力がニアを狙う。ドンピシャでDF岩波拓也が頭で合わせたが、GKモハマドレザ・アクバルに片手で弾かれてしまいゴールにはならなかった。26分にはFW久保裕也がペナルティエリア右でボールを持つと、目の前にDFがいるのも構わずに右足で鋭いシュートを放った。ゴール左に逸れたものの、エースが日本に流れを引き寄せようとする姿勢を見せた場面だった。

 

 日本は33分にヒヤリとする場面を迎える。日本ゴール前にロングボールを放り込まれると、ゴール右でモタハリがこぼれ球を拾った。DF植田直通が体を寄せるが、モタハリにかわされてシュートを放たれる。このシュートはゴール左に外れて日本は難を逃れた。前節、手倉森誠監督が「しびれる試合になると思う」と語っていた通りの前半の試合内容となった。

 

 後半に入り12分、日本に最大のピンチが訪れた。MFメフディ・トラビが右サイドから日本ゴール前にアーリークロスを上げると、ファーサイドに待ち構えるMFミラド・モハマディがヘディングで合わせる。このボールに櫛引が触ることができず失点を覚悟したが、ボールはクロスバーに直撃。日本はバーに助けられた。

 

 前半とは違い、日本はフォローの動きが少なく、ボールの回りも遅く流れが掴めない。この状況を打破しようと手倉森監督は交代カードを切る。37分に久保に代えてFW浅野拓磨、その6分後にはMF矢島慎也に代えて豊川をピッチに投入するが、スコアは動かず、90分終了の笛が鳴った。

 

 延長に入り、指揮官の采配は的中する。前半6分、右サイドの深い位置でDF室屋成が1人かわすと左足でゴール中央にポジションを取っていた豊川にピンポイントクロスを送る。豊川が確実にヘッドで決めて待望の先制ゴールが生まれる。今季よりJ1鹿島からJ2岡山へレンタルで武者修行に出る若きアタッカー。「“決めてやるぞ”という気持ちでピッチに入った」との言葉通り、ここ一番で大仕事をやってのけた。

 

 この得点により攻めるしかなくなったイランだが、日本の背番号10がトドメを刺す。中島が延長後半3分、4分に躍動する。得意の左サイドでカットインからの強烈なシュートで連続ゴール。リードを3点に広げると、戦意喪失気味のイランを相手に危なげなく試合を進め、日本は勝利を収めた。勝利を決定づけた中島は「最後にチームの役に立ててよかった。次は90分で自分がゴールなりアシストなりして、リオを決めたい」と先の戦いを見据えた。

 

 26日の準決勝の相手はUAE対イラクの勝者だ。勝てばリオ五輪確定である。今回の日本代表は、U-19選手権などアンダーカテゴリーで敗れ、世界の舞台に立てていない。ぜひとも次の準決勝でリオの切符を掴みとり、世界と戦う権利を手にして欲しい。

 

(文/大木雄貴)