現地時間26日、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」の準決勝がカタール・ドーハで行われた。日本代表はイラク代表に2対1で勝利し、リオ五輪出場を決めた。日本は前半26分にFW久保裕也のゴールで先制するも、43分に右CKからDFスアド・ナティク・ナジのゴールで追いつかれる。後半は苦しい展開が続くが、アディショナルタイムにMF原川力が決めて勝ち越した。6大会連続の五輪を決めた日本は30日の決勝に臨む。

 

 原川、攻守に渡り大活躍(カタール・ドーハ)

U-23日本代表 2―1 U-23イラク代表

【得点】

[日] 久保裕也(26分)、原川力(90+3分)

[イ] スアド・ナティク・ナジ(43分)


 宿敵を下しての五輪切符を手にした。2013年U-20W杯予選となったAFC U-19選手権、14年U-22アジア選手権は、いずれもイラク代表が日本の行く手を阻んできた。この日も開始早々から中盤での潰し合いが繰り広げられる。激しい肉弾戦での立ち上がりだった。

 先制点を奪ったのは日本だ。前半26分、50メートル5秒台のFW鈴木武蔵が左サイドから相手DFラインの裏に抜け出した。鈴木がゴール前に低いクロスを供給すると、ニアサイドに走り込んだ久保がスライディングで右足を伸ばし、ゴールに押し込んだ。2トップの息の合ったプレーで先制点をもぎ取った。

 一方、A代表を数多く揃え、この世代の中でアジア最強と評されるイラクも黙っていない。43分にCKを与えると、相手のクロスを鈴木がニアでクリアーを試みる。だが、鈴木のヘディングはミートせず、ボールは日本ゴールの枠内に飛んだ。このクリアーミスはGK櫛引政敏が弾く。ルーズボールをナジに頭で合わされたものの、これも櫛引が防いだ。

 しかし、櫛引が前に弾いてしまったところ、再度ナジに頭で押し込まれる。ボールはゴール左に吸い込まれた。日本はあと数分でハーフタイムというところでの痛い失点を喫した。

 後半に入るとイラクに押し込まれる時間が長くなり、日本はなかなか決定機を作れなかった。延長戦が脳裏によぎり始めた後半アディショナルタイム。今季よりJ2京都からJ1川崎に移籍する原川が大仕事をやってのける。MF南野拓実のクロスを相手GKが弾いたこぼれ球を原川がペナルティーアーク付近で拾い、左足を振り抜いた。鋭い弾道のシュートはゴール右に突き刺さり、日本が土壇場で勝ち越しに成功した。スコアはこのままで試合終了。日本が6大会連続で五輪出場を勝ち取った。

 殊勲の決勝ゴールを決めた原川は「ホッとしています。(リオ五輪出場が)1つの目標でしたし、とても嬉しいです。苦しい時間の方が多かったですが、みんなで耐えた事が勝利の要因。勝つことしか考えてなかったですし、それが実現できてチームとしてより成長したかなと思います」と胸を張った。

 若き日本代表は五輪出場を決めたが、まだ韓国対カタールの勝者と30日に決勝を残している。「1位でオリンピックにいくことが大事」と原川が言うように、アジアチャンピオンとしてリオに臨みたい。

(文/大木雄貴)