この人事は来年3月に予定されているWBC対策と言っていいだろう。
侍ジャパンの投手コーチとして元横浜監督の権藤博と元東北楽天の斎藤隆の入閣が内定した。
「僕の継投ミス。こういった場面での継投は初めて。勝たないといけない中での継投の難しさを感じた」
「本職の中継ぎ投手を選ばなかったのも僕の責任」
昨年11月、「プレミア12」の準決勝で日本代表が韓国代表に大逆転負けを喫した際の小久保裕紀監督の敗戦の弁だ。
先発・大谷翔平(北海道日本ハム)の好投で9分9厘勝っていた試合を「継投ミス」で引っくり返された。
球数制限のないプレミア12と違って、WBCは1次ラウンドが65球、2次が80球、準決勝・決勝が95球(2013年の規定)といった具合に細かい球数制限がある。
それを踏まえれば、投手コーチは「継投のスペシャリスト」が望ましい。98年に、佐々木主浩を中心にした強力な“ブルペン力”で横浜を38年ぶりに日本一に導いた権藤と日米で通算139セーブをマークした斎藤の“師弟コンビ”はベストの布陣だろう。
権藤と斎藤の出会いは、権藤が横浜のバッテリー・コーチに就任した97年に遡る。
「投手はやるかやられるかだろう。それ以外に何があるんだ?」
この言葉で、斎藤はハッと我に返ったという。
「そして権藤さんは、ボールに“Kill or be Killed”とも書いたんです。要するに“殺るか殺られるか”ということ。出遅れた僕はそのボールをもらっていなかった。だから監督に“それください”と頼んでもらったものです」
権藤には、こんな口癖がある。
「何千万、何億円ももらっている選手たちに、やれフォームがどうのなんていうのは失礼だ」
まして侍ジャパンに名を連ねる選手たちは、球界のスター中のスターである。
権藤イズム注入で、侍ジャパンは劇的な変化を遂げそうだ。
<この原稿は『週刊大衆』2016年2月22日号に掲載されたものです>
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