2日、女子サッカーリオ五輪アジア最終予選の第2節が行われ、なでしこジャパン(日本代表)は韓国代表と1-1で引き分けた。なでしこはなかなか得点を奪えなかったが途中出場のFW岩渕真奈が後半39分に先制ゴールを決めた。しかし42分にFWチョン・ソルビンに同点ゴールを許して、試合は終了した。なでしこは今日の引き分けで勝ち点1を獲得したが、順位は5位のままでリオ行きに黄色信号が灯った。

 

福元、PKストップも勝利に結びつかず

女子日本代表 1-1 女子韓国代表(キンチョウスタジアム)

【得点】

[日] 岩渕真奈(84分)

[韓] チョン・ソルビン(87分)

 

 なでしこは前節からスターティングメンバーを6人入れ替え、MF宮間あやを1.5列目で起用したが、ライバルの韓国相手に引き分けとなった。

  

 なでしこは序盤、FW横山久美を中心に左サイドからチャンスを作った。4分、横山が左サイドからカットインしてクロスバー直撃のシュートを放つ。7分にFW大儀見優季が、14分にはMF川村優理が、左からのクロスに頭で合わせたが、いずれもゴールを決めるには至らなかった。なでしこは多くのチャンスを作ったものの、得点に結びつけることができずスコアレスで試合を折り返した。

 

 後半6分、なでしこはまたしても左サイドから攻め立てる。左サイドバックに入った有吉佐織が敵陣の深い位置でボールを持つと、ペナルティーエリア左にポジションをとっていた横山へ預ける。横山は素早く反転し、シュートを放つがDFに阻まれてしまった。

 

 なかなか得点が奪えないなでしこは14分、ボランチに入っていた上尾野辺めぐみに代えて1.5列目の位置にスーパーサブの岩渕をピッチへ送り出す。1.5列目の宮間はボランチへとポジションを下げた。

 

 19分、岩渕が高い位置でボールを奪うと、そのまま左足でミドルシュートを放つ。強引にゴールを狙った岩渕だったが、枠を捉えることはできなかった。

 

 良い流れの時に決めきれなかったなでしこに、ピンチが訪れる。自陣ゴール前でDF近賀ゆかりがチョン・ソルビンと競り合い体勢を崩した。地面に倒れこんだ際に近賀の手がボールに当たってしまいPKを献上してしまう。キッカーはINAC神戸レオネッサでのプレー経験もあるFWチ・ソヨン。しかし、この窮地をGK福元美穂が救った。福元は左に飛んでシュートを弾くと、すぐさま立ち上がり、こぼれ球を大きくクリアーした。

 

 PKセーブで勢いに乗りたかったものの、ゴールが奪えない時間が続いた。スコアレスドローもちらつき始めた39分、スーパーサブが仕事をする。右サイドからMF川澄奈穂美がクロスを入れると、ニアで大儀見と飛び出してきた相手GKが競り合う。お互いボールを触れられなかったが、大儀見のすぐ後ろにポジションを取っていた岩渕が頭で合わせて待望の先制ゴールを決めた。ようやくなでしこが今大会でゴールを記録した。

 

 勝ち点3を手にしかけたなでしこだったが、3分後、ライバルに牙をむかれる。右サイドからFWチャン・セルギがクロスを放り込まれると、このボールをジャンプしながら福元がキャッチする。しかし、着地の時にDF熊谷紗希と交錯してボールを落としてしまう。このこぼれ球にチョン・ソンビルが反応。シュートを日本ゴールに突き刺し、試合は1-1の引き分けに終わった。

 

 試合後に佐々木則夫監督は「今日は勝負にいったが、なかなか勝たせてくれない。(リオ五輪出場は)他力になりますけど、最後までなでしこのサッカーをするしかない。選手は切り替えて前向きにやってくれたんですが、うまい具合に結果として出なかった。選手にも皆さんにも申し訳ないと思うばかり。とにかくあきらめずに最後まで頑張る」と語った。

 

 前を向く指揮官に選手たちも続く。先制ゴールを決めた岩渕が「仕掛けるためにボールを受けることができなかったので、次は仕掛けてしっかりゴールにつながるようにやっていきたい」と語れば、キャプテンの宮間は「(これで)終わったわけではない」と気持ちを次戦に切り替えていた。

 

 次節は4日、今大会勝ち点4で2位・中国と対戦する。自力での2位以内の可能性は潰えたが、中国に勝って勢いに乗れれば、まだまだリオへの道は拓けてくる。

 

(文/大木雄貴)