4日、女子サッカーリオ五輪アジア最終予選の第3節が行われ、1分け1敗であとがないなでしこジャパン(日本代表)は中国代表に1-2で敗れた。試合はなでしこが序盤から押し込まれる苦しい展開になった。前半14分、MFジャン・ルイに先制されると、後半13分にはMFグー・ヤーシャに追加点を許した。なでしこは20分にFW横山久美が一矢報いるが追加点は奪えず、試合は終了した。

 

得意のパスサッカーが鳴りを潜める

女子日本代表 1-2 女子中国代表(キンチョウスタジアム)

【得点】

[日] 横山久美(65分)

[中] ジャン・ルイ(14分)、グー・ヤーシャ(58分)

 

 4大会連続で五輪出場を狙うなでしこだが、今回の敗戦で状況は一層厳しくなった。

 

 試合開始から終始なでしこ陣内で試合が進む苦しい展開だった。14分になでしこ守備陣のミスを突かれる。MF川村優理のバックパスをセンターバックの熊谷紗希と田中明日菜が譲り合ってしまう。このボールをジャン・ルイにかっさわれて、そのままゴールに流し込まれた。その後もなでしこはチャンスを作ることができず、中国に試合を支配されたまま前半は終了した。

 

 巻き返しを図るなでしこは、後半開始と同時に川村を代えてスーパーサブのFW岩渕真奈を投入する。

 

 1分に高い位置でなでしこがボールを奪うと、MF宮間あやがペナルティーエリア手前からシュートを放つも、相手GKに阻まれる。12分には宮間とのワンツーでDFを振り切ったFW大儀見優季がミドルを狙うが、わずかにゴール右に逸れた。なでしこはシュートを打てるようにはなったが、遠い位置からのシュートしか許してもらえない。依然として苦しい展開が続いた。

 

 13分、なでしこは取られてはいけない2点目を中国に献上する。ペナルティーエリア手前でボールを持つグー・ヤーシャにDF鮫島彩がチェックに行く。だが、鮫島はフェイントでかわされ、グー・ヤーシャが左足一閃。シュートはゴール右上に決まった。

 

 20分、崖っぷちに立たされたなでしこが意地を見せる。岩渕が左サイドの深い位置からグラウンダーのクロスを入れる。一度は中国DFにカットされるが、ペナルティーエリア内ですぐに横山が奪い返し、1人かわしてニアサイドを狙う。右足から放たれたシュートはゴールネットに突き刺さり、ついに1点を返した。しかし、反撃はここまでだった。試合終盤には鮫島に代えてFW高瀬愛実をピッチに送り出すが奏功せず。無情にも試合終了の笛が鳴り、なでしこの五輪出場は絶望的となった。

 

 試合後、佐々木則夫監督は「後手後手になってしまって歯車が合わない状況ですが、とにかく下を向かずにあと2戦、みんなと一緒に頑張る」と前を向いた。次のベトナム戦まで中2日空くが「気持ちの整理が一番」と語った。主将の宮間も「チームがバラバラにならないように、全てここに賭けてやってきているので最後までやる」とコメントした。

 

 今日の敗戦でなでしこは1分2敗、勝ち点1の5位となった。リオ五輪出場のボーダーラインとなる2位・中国の勝ち点は7。残り2戦で6ポイント差と、その可能性はほんの僅かだ。試合後に見せたなでしこの選手たちの涙が、状況の厳しさを物語っていた。

 

(文/大木雄貴)