7日、女子サッカーリオ五輪アジア最終予選の第4節が各地で行われた。なでしこジャパン(日本代表)は、ベトナム代表にFW岩渕真奈のゴールなどで6−1で勝利した。グループリーグ(GL)4試合を消化し、日本は1勝1分け2敗の勝ち点4で4位。上位2カ国までに与えられるリオ五輪出場権獲得はならなかった。GL1位のオーストラリア代表(勝ち点12)、同2位の中国代表(勝ち点10)がリオ行きの切符を手にした。

 

中島、攻守に渡り大活躍(キンチョウスタジアム)

女子日本代表 6-1 女子中国代表

【得点】

[日] 岩渕真奈(39分)、大野忍(45分)、川澄奈穂美(80分)、中島依美(83分)、横山久美(90分)、大儀見優季(90+3分)

[ベ] フイン・ヌー(42分)

 

 リオへの道は潰えたなでしこは、FW大儀見優季、MF宮間あやら主力を外し、FW岩渕真奈、MF中島依美らをスタメンで起用した。

 

 12分、その岩渕が魅せる。DF上尾野辺めぐみのクロスをDF田中明日菜がポストプレーで岩渕へ落とす。このボールを受けた岩渕が右足を振り抜くが、シュートは左ポストを直撃した。

 

 その後、なでしこはボールを保持して、いくつかの決定機を作った。すると39分にスコアが動く。右サイドバックからボランチにポジションを移していた中島が、左サイドを抜け出すとグラウンダーのクロスを送る。このボールに岩渕が右足で合わせた。ボールは相手GKの股下をすり抜け、ゴールが決まった。岩渕のスタメン起用、中島のポジションを変更した佐々木則夫監督の采配が的中した格好となった。

 

 このまま前半を終えたかったなでしこだが42分、微妙なジャッジでベトナムにPKを献上する。このPKをFWフイン・ヌーに冷静に決められた。1-0のまま前半を終わらせられず、嫌なムードが漂いかけた。

 

 しかし、その3分後、再びなでしこが得点を奪う。MF川澄奈穂美との連携で右サイドを崩した中島がセンタリングを上げる。このボールをペナルティエリア内でトラップした岩渕が、FW大野忍へ落とす。大野は豪快な左足ボレーをゴール左上に突き刺して、なでしこが1点リードで試合を折り返した。

 

 後半も中島がボランチの位置から積極的に攻撃に絡み、なでしこペースで試合を進める。35分、待望の追加点が生まれる。途中からピッチに入ったFW大儀見優季が左サイドからクロスを入れると、右サイドからフリーでペナルティエリアに侵入したMF川澄奈穂美がヘディングで合わせて3点目を決めた。若手が躍動する中、古株コンビが意地を見せた。

 

 その後、攻守に躍動していた中島、途中出場のFW横山久美、大儀見が追加点を奪い、6-1の圧勝で試合を終えた。

 

 4年前のロンドン五輪では銀メダルを獲得したなでしこだったが、リオの舞台に立つことはかなわなかった。強豪相手には陣形が間延びし、押し込むことができなかった。距離感の悪さが、持ち味であるパスサッカーを消した。3年後のフランスW杯では大儀見が31歳、宮間と川澄が33歳と現主力はベテランと呼べる年齢で大会を迎えることになる。今後は課題である世代交代にも着手しなければならない。

 

 次世代の旗頭として期待される岩渕は「これからの女子サッカーを大切にする意味でも、これからに向けてしっかりと新たなスタートを切る。チームを引っ張れる存在になりたい」と気持ちを切り替える。リオへの道は途切れたが、なでしこは2019年W杯フランス大会へ向けてスタートを切った。

 

(文/大木雄貴)