9日、女子サッカーリオ五輪アジア最終予選の最終節が行われた。リオ五輪出場を逃したなでしこジャパン(日本代表)は、同じく予選敗退が決まっている北朝鮮代表と対戦した。なでしこは後半35分、途中出場のFW岩渕真奈のゴールで先制点をあげる。この1点を最後まで守り切り1-0で勝利し、今大会は3位で終了した。

 

宮間、左足のクロスで好アシスト(キンチョウスタジアム)

女子日本代表 1-0 女子北朝鮮代表

【得点】

[日] 岩渕真奈(80分)

 

 走るだけで水しぶきが飛び散るピッチは、なでしこらしいショートパスをつなぐサッカーを奪った。それでもシンプルに相手の裏を狙う姿勢が見られた。

 

 13分にはMF宮間あやの右サイドからのアーリークロスにMF阪口夢穂が反応するが、トラップが大きくなってしまい、シュートまで持っていけなかった。31分にはDF有吉佐織のロングボールにFW大儀見優季がDFラインをかい潜りヘディングで合わせたものの、ゴール左に外れた。ゴールにはならなかったが、水たまりだらけのピッチに適応した戦いで何度もチャンスを作って前半を終了した。

 

 後半に入るとなでしこは、7分と10分にパスミスから北朝鮮のカウンターを食らう場面もあった。それでも後半開始とともにピッチへ送り出されていたFW岩渕真奈が流れを引き寄せようと試みる。12分には、右サイドでボールを受けた岩渕が1人かわして逆サイドの宮間へボールを展開する。宮間は左足でクロスを入れると、走り込んでいた岩渕がファーサイド合わせようとするが、惜しくもボールに届かなかった。

 

 なでしこはチャンスを作るものの、相手ゴールをなかなかこじ開けることができない。35分、ようやく均衡を破ることに成功する。再び宮間が左サイドからクロスを上げると、今度は岩渕が頭で合わせてゴールネットを揺らす。新世代を代表する岩渕が、存在感を示す先制弾だった。

 

 その後は北朝鮮の攻勢をなでしこDF陣がシャットアウトして試合は終了した。第2節の韓国戦では先制しながら終盤に追いつかれたが、今大会初の完封で見事にゲームを締めた。

 

 途中から出場して貴重なゴールを決めた22歳の岩渕は「またゼロからのスタートですけど、応援してもらえるチームを作っていきたいと思います」と次世代のエースとして決意を述べた。

 

 一方、監督解任も示唆されている佐々木則夫監督は試合後にこう語った。

「この大会については指揮官である僕、監督の力不足だったと思います。でも選手は最後の最後まで諦めずにこの2戦、頑張ってくれた。僕自身もこれまで様々な事があったが、本当に選手には感謝しています。今回の結果を受け止めて、その反省をもとにフランスW杯、東京五輪につなげていくにあたり、若い選手も逆境にくじけず成長して、新たななでしこジャパンを結成して頑張ってほしい」

 

 退任を匂わせるコメントをした佐々木監督。退任であれば、最後の試合となる。今大会の選手起用を見ても、なでしこの世代交代を感じさせた。W杯初優勝、ロンドン五輪銀メダルなど数々の功績を残してきた名将がチームを去るのか。後任候補には現U-20女子日本代表監督・高倉麻子の名前が挙がっている。新たなスタートを切るなでしこの監督人事にも注目だ。

 

(文/大木雄貴)