(写真:「今回のメンバーに選ばれていない選手にも可能性がある」と話す手倉森監督)

(写真:「今回のメンバーに選ばれていない選手にも可能性がある」と話す手倉森監督)

 14日、日本サッカー協会は3月下旬から始まるU-23日本代表ポルトガル遠征メンバー22人を発表した。リオデジャネイロ五輪アジア予選を兼ねた「AFC U-23選手権」で右サイドバックを務めたDF室屋成(FC東京)、DF松原健(アルビレックス新潟)が揃って負傷離脱中により、DFファン・ウェルメスケルケン・際(FCドルトレヒト)が初選出された。FW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)も2月下旬の練習で左大腿(だいたい)四頭筋を肉離れしたため、FW金森健志(アビスパ福岡)が招集された。U-23日本代表はこのメンバーで21日から行われるポルトガル遠征に臨み、25日にロンドン五輪で金メダルを獲得したU-23メキシコ代表と、28日にはポルトガルの強豪であるスポルティング・リスボンと親善試合を行う。

 

 右サイドバックの選手が相次いで離脱したことで、手倉森誠監督はオランダ2部・FCドルトレヒトに所属する21歳DFファン・ウェルメスケルケン・際の招集を決めた。際はオランダ人の父と日本人の母を持つ。

 

 手倉森監督は際について、こう語る。

「オリンピック最終予選のエントリーの中に既に入れていた。今回、室屋、松原がケガをしたので、候補者の一人として映像を集めてくれとお願いした。映像を見た時にもの凄く興味が湧いてきた。彼はオランダでやっていますから招集するチャンス、縁があるんじゃないかなと思って選びました」

 

 五輪本戦は18人で戦うことを余儀なくされる。手倉森監督にとっては複数ポジションをこなせるプレーヤーは魅力的に違いない。手倉森監督は際のユーティリティ性を評価する。

「本大会になったら18人に絞らないといけない。2つのポジションをやれることが条件になってくるというのは色濃くなってくるだろうなと思った時に、左右(のポジションを)やれるというのは大事になってくる。そういう意味で際は、両サイドバック、ボランチもこなせる。前節は左サイドハーフで出ていた。ロングスローもある。今までU-23代表が武器として持ってなかった部分を、彼が落とし込んでくれればという期待はある。サイドバックに関しては両方やれるというのはこれから条件になってくる」

 

 一方、リオ五輪最終予選で大車輪の活躍をしたGK櫛引政敏(鹿島アントラーズ)とMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)はメンバーから漏れた。これについて指揮官は「もう十分、彼らの力はわかっている。そのポジションでまた新たなライバルの力を試したいという方を優先して、(2人を)外しました。直接彼らには電話させてもらって、話をして理解もしてもらっています」と説明した。

 

 これまではアジアを舞台に戦ってきたU-23日本代表だが、次からは世界が相手になる。手倉森監督の頭の中にも世界仕様の戦いにシフトチェンジをするイメージができているのか。アジア最終予選では候補メンバー止まりだったMF関根貴大(浦和レッズ)、MF鎌田大地(サガン鳥栖)を呼んだ。

「これから戦う世界という国は、また違った持ち味で戦わなければいけない。例えば1つ例に挙げたら、アジアの戦い方は浮いたボールが多かったかもしれないけれど、世界の戦い方は地上戦が増える可能性がある。そうなった時になるべく優先順位を下の(グラウンダーの)パスで崩せるようなクオリティを高めておきたい。その時に鎌田や関根はアジアでは使いませんでしたが、世界では(起用する)可能性が出てくるだろうなと。そこを探りたいなと思います」

 

 さらに今まで4-4-2がメインフォーメーションだったが、手倉森監督は今回の遠征でトップ下を置く4-5-1など違うオプションを試すことも示唆した。U-23メキシコ代表、スポルティング・リスボンを相手に日本がどこまで通用するのか。世界仕様に変わっていく若き侍から目が離せない。

 

<U-23日本代表メンバー22名>

 

GK

杉本大地(徳島ヴォルティス)

牲川歩見(サガン鳥栖)

中村航輔(柏レイソル)

DF

山中亮輔(柏レイソル)

亀川諒史(アビスパ福岡)

奈良竜樹(川崎フロンターレ)

岩波拓也(ヴィッセル神戸)

ファン・ウェルメスケルケン・際(FCドルトレヒト)

植田直通(鹿島アントラーズ)

中谷進之介(柏レイソル)

MF

大島僚太(川崎フロンターレ)

遠藤航(浦和レッズ)

原川力(川崎フロンターレ)

中島翔哉(FC東京)

豊川雄太(ファジアーノ岡山)

南野拓実(ザルツブルク)

関根貴大(浦和レッズ)

鎌田大地(サガン鳥栖)

井手口陽介(ガンバ大阪)

FW

久保裕也(ヤングボーイズ)

金森健志(アビスパ福岡)

浅野拓磨(サンフレッチェ広島)

 

(文・写真/大木雄貴)