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(写真:勢ぞろいした6球団の監督とドラフト1位選手たち)

 14日、今年で4回目となる「セ・リーグファンミーティング2016」が横浜パシフィコで開催された。ファンミーティングの目玉であるセ・リーグ6球団の監督、ドラフト1位選手によるトークバトルでは、岡田明丈(広島)が自身の背番号に合わせて「17勝、新人王獲得」を宣言すると、桜井俊貴(巨人)も新人王レースに名乗りを上げて会場に集まったファンを沸かせた。

 

 トークバトルの序盤は、チームの現状を6球団の監督が報告した­。昨年リーグ優勝を果たした東京ヤクルトの真中満監督は「全体的の仕上がりは非常にいい。調整遅れというか、怪我人が出ているので若干の心配はある」と話したものの、「正直、去年の今頃と比べるといろいろなバリエーションがあるので幸せな悩みです」と選手層の厚さに自信を覗かせた。 

 

 レギュラー陣に大きな離脱がない巨人の高橋由伸監督と阪神の金本知憲監督の新監督2人も順調ぶりを窺わせた。高橋監督は、千葉ロッテから移籍してきたルイス・クルーズとメジャー通算122本塁打のギャレット・ジョーンズの新外国人コンビに「楽しみにしている」と期待を寄せた。阪神は4年ぶりに復帰した藤川球児が、13日に行われた北海道日本ハムとのOP戦で5回無安打と好投した。藤浪晋太郎やランディ・メッセンジャーに加えて、藤川が先発ローテに食い込めば、阪神の先発陣は盤石だ。

 

 その一方で、昨シーズンBクラスだった中日と広島は不安を抱えての開幕になりそうだ。特に中日・谷繁元信監督の表情は険しく「今季からベテランが引退してかなりチームが若くなる。開幕まで調整というよりも、選手一人一人がレベルを上げないといけない。チームの状態としてはあまり良くない」と口にした。広島も緒方孝市監督が「順調にきているが、投手と野手のキーマンにあげていた選手が開幕に間に合いそうにないのは残念」と語るなど、チーム状況は芳しくない様子だ。“ポストマエケン”と期待されていた大瀬良大地は故障の影響で開幕は間に合わない見込み。赤ヘルの指揮官は「新人のドラフト1、2位の投手がローテーションの枠に入って来てくれるんじゃないかな」と、新戦力に期待を寄せていた。

 

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(写真:今季10勝することを誓った<前>今永)

 会場の熱気が最高潮に達したのは、ドラフト1位ルーキーによる選手宣誓だった。昨年に引き続き、横浜DeNAの指揮官­の口から“重大発表”されると、歓声とともに拍手が沸き起こった。アレックス・ラミレス監督は「­今永(昇太)に一番最初に会った­時に“どこで投げたいんだ? ジャイアンツの初戦に­投げられるか?”と聞くと、“はい。投げられます”と­答えてくれた」と2人のやり取りを明かし、「ここで皆さんの前で、今永は­横浜の開幕1戦目のジャイアンツ戦に当てたい」と、­本拠地開幕投手に今永を指名した。

 

 これを受けて今永は「今シーズンは、良い意味で監督の期待を裏切られるようにしたい。しっかりと責任感­を持ち、横浜を勝たせるという強い気持ちを持ってシーズンに入るので、応援よろしくお願いします」と、力強く応えた。ラミレス監督からの予期せぬサプライズ発表に、会場はこの日一番の盛り上がりをみせた。

 

 例年、トークバトルでは開幕投手を指名するのが­お決まりとなっている。今年は中日の谷繁監督を除いた5球団の監督が開幕投手を明言­した。­­ヤクルトは小川泰弘、巨人は3年連続で菅野智之、阪神はメッセンジャー、広島はクリス・ジョンソン、DeNAは山口俊が務める。谷繁監督は「本人には2月1日に伝えています」と一言。これに対して開幕戦で中日と戦う金本監督は「うちはメッセンジャーと発表しているので、恐らく中日は大野でしょうね」と牽制し、会場の笑いを誘った。­

 

 今季はセ・リーグ6球団の中で4球団が新人監督を据えて始動する。監督は全員40代。セ・リーグが新しく生まれ変わったといっても過言ではない。今季のセ・リーグを制すのはどこの球団か――。リーグ制覇を懸けた熾烈な­戦いは、いよいよ来週25日に開幕する。