2日、2016明治安田生命J1リーグファーストステージ第5節、川崎フロンターレ対鹿島アントラーズの一戦が等々力陸上競技場で行われた。前半27分、MFカイオの得点で鹿島が先制に成功した。36分には川崎FがMFエウシーニョのゴールで同点に追いつく。後半は鹿島が押し気味に試合を進めるも、ゴールネットを揺らすことができず1-1の引き分けに終わった。

 

 左太もも痛の大久保を途中投入も実らず(等々力)

川崎フロンターレ 1-1 鹿島アントラーズ

【得点】

[鹿]カイオ(27分)

[川]エウシーニョ(36分)

 

 リーグ最多得点の川崎Fと最少失点の鹿島の戦いは1-1の痛み分けに終わった。4節終了時点では川崎Fは首位だったが、この結果で2位に転落した。ファーストステージの優勝争いを占う上位対決は終始、鹿島ペースで試合が進んだ。開始早々にFW金崎夢生のヘッドで川崎Fゴールを襲うが、ここはGKチョン・ソンリョンにセーブされた。

 

 27分、鹿島が先制点を決める。川崎FのDFのクリアミスがゴール前に飛ぶと、このボールにMFカイオが右足インサイドで合わせてゴール左に決まった。相手のミスを見逃さない試合巧者の鹿島らしいゴールだった。

 

 36分、川崎Fが反撃に出る。MF田坂裕介の浮き球のパスで裏に抜け出したFW小林悠がループシュートを狙う。シュートは短くルーズボールになったが、最後はMFエウシーニョが押し込んだ。川崎Fが同点に追いつき、試合を折り返す。

 

 後半も鹿島が優勢だったが、10分から投入したMF土居聖真に決定的な場面が3度ありながらゴールに結びつけることはできなかった。特に32分のシーンはビッグチャンスだった。MF山本脩斗が左サイドをえぐってゴール前にラストパスを送る。フリーでボールを受けた土居は、右足でダイレクトシュートを試みたが、惜しくも枠を外した。

 

 劣勢の川崎Fは、13分から出場していたFW大久保嘉人がアディショナルタイムにロングレンジから強引に右足を振り抜いたが、枠を捉えることはできなかった。試合はこのまま終了し、両チームで勝ち点1を分け合った。

 

 アウェーで多くのチャンスを作りながら1得点のみに終わった鹿島。石井忠正監督は「ナビスコの2戦で敗れていたので入りが難しかったが、選手は立ち上がりから戦ってくれた。ほんのちょっとしたミスから失点したのは悔しい」と話したが、チームの出来には手応えを感じている様子だった。ホームで押し込まれた川崎F・風間八宏監督は「自分たちらしい時間がすごく短かったが、それでも全体として(選手は)勝負にこだわってくれた」と語る。内容に不満を持ちつつも、選手たちの姿勢を称えた。

 

 一方で指揮官とは違い選手たちの表情は硬かった。スタメン出場し、守備陣を牽引した鹿島のDF植田直通は「鹿島はナビスコで2連敗していて、良い流れじゃなかった。この試合は非常に大事な試合というのはわかっていました。“上に行くためにはこの試合は絶対負けられない”とみんなで話していた。でも引き分けに終わって悔しい気持ちでいっぱいです」と唇を噛んだ。

 

 ベンチスタートとなった大久保は「鹿島は前に強いので、どこを狙っていくのか」と戦況を見つめていた。途中からピッチに立ったが「(味方との距離が)すごく、遠いんですよね。守りたいのか勝ちたいのか。行くときは行くんですけど、消極的。きついかもしれないけれど、(前に)出てこないといけない」と課題を述べた。

 

 上位対決は両軍が勝ち点を1ずつを積み上げた。J1はファーストステージ5節が終了し、川崎Fは勝ち点11の2位、鹿島は勝ち点10の3位につけている。悲願のJ1王者を狙う川崎F、7年ぶりの王座奪還を目指す鹿島。リーグ戦では良い位置にいる両チームの戦いから目が離せない。

 

(文/大木雄貴)