5日、競泳のリオデジャネイロ五輪日本代表選考会を兼ねた「第92回日本選手権水泳競技大会」2日目が東京辰巳国際水泳場で決勝2種目が行われた。女子100メートルバタフライ決勝は準決勝で日本記録をマークした池江璃花子(ルネサンス亀戸)が57秒71で初優勝を果たした。派遣標準記録(57秒77)を突破し、初の五輪出場を決めた。男子100メートル平泳ぎ決勝は小関也朱篤(ミキハウス)が59秒66で北島康介(日本コカ・コーラ)に競り勝って3連覇。しかし派遣標準記録を100分の3秒クリアできず、この種目でのリオ五輪出場を逃した。

 

 15歳、涙のリオ行き

 

 ゴール直後、涙を堪えることができなかった。15歳の池江が初の五輪切符を手に入れた。

 

 前日の準決勝で日本記録を叩き出した池江は、この日200メートルの予選と準決勝に出場した。3レース目となった100メートルバタフライは、「正直、不安の方が大きかった」という。その不安を振り払うように序盤から飛ばした。

 

 池江はスタートから頭ひとつほど抜け出すと、50メートルのターンはただ1人の26秒台を出した。自らの日本記録を0秒17速いペースで刻む。この種目で優勝経験のある星奈津美(ミズノ)、福田智代(コナミスポーツクラブ)を寄せ付けない。

 

 大きな泳ぎで、他との差をぐんぐん広げていく。池江は57秒71でフィニッシュし、派遣標準記録を0秒06上回った。15歳の女王は「とにかく派遣標準記録を切ることを目標にやってきた。ベストは出なかったですが、本当にうれしい」と喜んだ。

 

 これでリオへの出場権を掴み取った。「本番では決勝に残って、みんなを喜ばせたい」。高校に入学したばかりの15歳は夢を膨らませる。

 

 平泳ぎ100M頂上決戦、五輪に届かず

 

 大会連覇中の小関、日本最速のタイムを持つ北島。平泳ぎ100メートルの頂上決戦は小関が制した。

 

 決勝のレースは、第4レーンに北島、第5レーンには小関が入った。その他にもロンドン五輪代表で200メートル平泳ぎ銅メダリストの立石諒(ミキハウス)、200メートル平泳ぎの世界記録保持者の山口観弘(東洋大)が出場し、好勝負が期待された。

 

 序盤レースを引っ張ったのは、上野聖人(早稲田大)だ。27秒90で折り返すと、それに0秒09遅れて小関、0秒27遅れて北島が追いかける。後半の直線で抜け出したのは、大きな泳ぎで水をかく小関だった。33歳の北島も食らいつくが、24歳の小関が先にゴール板にタッチした。見事に3連覇を成し遂げた。

 

 しかし、優勝タイムは59秒66と派遣標準記録(59秒63)には及ばない。小関は「情けないの一言」と唇を噛む。0秒27差で2位の北島は、前日の準決勝で派遣標準記録をわずかに切る59秒62でトップ通過していた。「言葉にならない」とショックを露わにした。「この(選考会の)緊張感を味方につけられず、力を発揮できなかった」と自分を責めた。

 

 両者は200メートル平泳ぎにもエントリーしており、リオ行きの道は完全に絶たれたわけではない。小関は「ここで終わりじゃない。そこでしっかり結果を残したい」と前を向く。5大会連続の五輪出場がかかる北島も「代表取れるように頑張ります」と気持ちを切り替えた。

 

 2日目の決勝結果は次の通り。

 

<男子100メートル平泳ぎ・決勝>

1位 小関也朱篤(ミキハウス) 59秒66

2位 北島康介(日本コカ・コーラ) 59秒93

3位 立石諒(ミキハウス) 1分0秒36

 

<女子100メートルバタフライ・決勝>

1位 池江璃花子(ルネサンス亀戸) 57秒51

2位 星奈津美(ミズノ) 58秒60

3位 長谷川涼香(東京ドーム) 58秒71

 

※選手名の太字は五輪代表に内定

 

(文/杉浦泰介)