3月21日(水)
【高校野球】
◇1回戦
 大谷、11奪三振も11四死球の大乱調
大阪桐蔭      9 = 000003204
花巻東(岩手)   2 = 010100000
【本塁打】
(大)田端
(花)大谷
 初回、両エースともに不安定な立ち上がりとなった。公式戦でのマウンドは昨夏の甲子園以来となる花巻東のエース大谷翔平(3年)は先頭打者を四球で出すと、2死後には死球でランナーを出し、ピンチを招いた。しかし、5番・白水健太(3年)をスライダーで空振り三振に切って取り、無失点で切り抜ける。その裏、197センチ長身の大阪桐蔭エース藤浪晋太郎(3年)も先頭打者を四球で出す。しかし、守備にも助けられ、結果的に3人で花巻東の攻撃を終わらせた。

 先制したのは花巻東。2回裏、4番・大谷がボールカウント2−2からの5球目、やや真ん中に入ったスライダーをすくい上げ、先制アーチをライトスタンドへ放った。さらに4回裏、花巻東は1死一、二塁から7番・田中大樹(3年)の一、二塁間を破るタイムリーで貴重な追加点を挙げた。

 一方、大阪桐蔭は6回表、先頭打者を四球で出すと、4番・田端良基(3年)が内外野間にポトリと落ちるテキサスヒットで続く。白水の犠打で1死二、三塁とすると、6番・安井洸貴(3年)は内野ゴロに倒れるも、この間に三塁ランナーが返り、1点を返す。続く7番・水谷友生也(2年)が四球で出塁し、2死一、三塁に。ここで8番・笠松悠哉(2年)が大谷のスライダーをうまくとらえ、左中間を破る逆転2点タイムリーを放った。さらに7回表には、4番・田端の2ランで、その差を3点に広げた。投げては藤浪が尻上がりに調子を上げ、5回から8回までは内野安打1本に抑える好投を披露する。

 そして大阪桐蔭3点リードで迎えた最終回、ここで花巻東の守備に乱れが出る。1死から四死球でランナーを出すと、捕手の一塁への牽制が悪送球となり、1点を献上。さらに四死球で出したランナーの生還を暴投、一塁手の三塁への悪送球で許し、ヒットを1本も打たれることなく、4点を与えてしまった。その裏、花巻東は1死から5番・高橋翔飛(3年)、代打・古水将寛(3年)の連続ヒットで粘りを見せたが、反撃もここまで。最後は、藤浪に2者連続三振を奪われ、ゲームセットとなった。

 大谷は8回2/3を投げて11個の三振を奪いながら、7安打6失点。11個にものぼる四死球が自らのピッチングを苦しめた。一方、藤浪は8安打ながらも12奪三振2四死球2失点で完投。四死球数が両エースの明暗を分けるかたちとなった。

 接戦制し、初戦突破
鳥取城北   5 = 002000102
三重      6 = 10101003×
【本塁打】
(鳥)佐藤

 ともに投手を中心に守りからリズムをつくる野球を身上とする三重と鳥取城北。だが、開幕戦の緊張からか、四死球や守備の乱れからピンチを招き、得点を許す展開となった。1回裏、三重は1死三塁から3番・岡本拓朗(3年)の犠牲フライで先取点を挙げる。しかし、3回表に鳥取城北が1死一、二塁から3番・木村達也(3年)が一塁線を破る二塁打を放ち、二塁ランナーが生還。なおも1死二、三塁とすると、4番・川野翔(3年)の内野ゴロの間にランナーが返り、鳥取城北が逆転に成功した。しかしその裏、三重も死球で出たランナーを三塁に進め、次打者の内野ゴロの間に同点とした。

 5回裏、三重は先頭の1番・北出和摩(2年)がレフト線を破る二塁打を放つと、次打者犠打で三塁へ。ここで岡本がセンターの頭上を越える二塁打を放ち、この試合自身3打点目となる勝ち越し点を挙げた。一方の鳥取城北も7回表、1死一、三塁の場面で主将の佐藤が犠牲フライでランナーを返し、試合を振り出しに戻した。

 試合が大きく動いたのは8回裏。三重は先頭の岡本がこの試合3本目のヒットで出塁すると、4番・小川智也(3年)の犠打で二進した。2死後、6番・三浦の痛烈なゴロを鳥取城北の遊撃手が弾いた。ボールが外野へと転がる間に、小川が生還し1点を勝ち越す。続く7番・小林大輝(3年)がヒットで続き、2死一、三塁とすると、8番・小田駿(3年)がタイムリー二塁打を放つ。さらに9番・前川仁耶(3年)は空振り三振に倒れるも、捕手がボールを後逸し、振り逃げで一塁へ。この間に三塁ランナー小林が生還し、この回3点目を挙げた。

 これで試合は決まったかと思われたが、鳥取城北が驚異の粘りを見せる。9回表、先頭の7番・木下裕悟(3年)が四球で出塁すると、その後は2者連続で三振に倒れるも、佐藤が主将の意地の一発で2点を返し、1点差に迫った。続く2番・駒居佑亮(3年)はストレートの四球を選んで出塁すると、木村がライトへ痛烈な打球を放ち、2死ながら一、二塁とした。ここで打席には、この試合無安打に抑えられている4番・川野翔(3年)。川野はファウルで粘りを見せるも、最後はスライダーに手が出て空振り三振。鳥取城北は、春夏通じて初勝利を挙げることはできなかった。

 試合巧者ぶりを発揮し、快勝
浦和学院(埼玉)   10 = 031100005
敦賀気比(福井)   2 = 001010000

 2回表、浦和学院は1死から四球と内野のエラーで二、三塁と得点のチャンスをつかむと、1番・竹村春樹(2年)が犠牲フライで先制する。さらに2番・林崎龍也(3年)が粘って四球で出塁すると、3番・佐藤拓也(3年)が2点タイムリーを放ち、この回一挙3点を奪った。さらに3回表にも1点を追加した浦和学院は試合の主導権を握る。

 一方、敦賀気比は3回裏、先頭の8番・岩田晋弥(2年)が左中間を破る三塁打を放つと、続く9番・米満一聖(2年)の犠牲フライで1点を返した。だが4回表、浦和学院はダメ押しとなる1点を追加し、再びリードを4点とした。

 5回裏、敦賀気比は1死から9番・米満が二塁打を放つと、1番・前岡良太(3年)が三遊間を破るレフト前ヒットで続く。2番・西原京介(3年)の打球は内野ゴロになるも、併殺を狙った遊撃手が、この打球をジャックルする。その間に、三塁ランナー米満か返り、1点を返した。6回以降は両投手が好投を披露し、互いに追加点を許さない。しかし8回表、敦賀気比にアクシデントが起きる。1死後、7番・小暮騎士(2年)の打球が敦賀気比のエース山本の左脇腹に直撃。山本は治療を受けた後、レフトへと下がる。マウンドには2番手・岸本淳希(2年)が上がった。その岸本がランナーを出すも、後続を抑えて無失点に抑える好投を披露した。

 しかし9回表、岸本は2者連続で四球を出し、無死一、二塁とピンチを招いた。ここで浦和学院は4番・笹川晃平(3年)が三遊間を抜けるタイムリーを放ち、試合を決定づける追加点を奪った。さらに岸本の暴投で無死二、三塁とすると、1死後、明石飛真(3年)が2点タイムリーを放つ。ここで敦賀気比は3番手・鵜瀬裕介(3年)にスイッチした。しかし、その鵜瀬も1点を失い、その差を8点に広げられる。その裏、敦賀気比は1死からランナーを出すも後続が続かず、得点を奪うことができなかった。投打に圧倒した浦和学院が2004年夏以来、春は03年以来となる初戦突を果たした。