3月22日(木)
【高校野球】
◇1回戦
 神村学園、準V以来の春初戦突破
神村学園(鹿児島)   9 = 110250000
石巻工(宮城)      5 = 000500000
 21世紀枠の石巻工がいきなりピンチを迎えた。エースの三浦拓実(3年)の制球が定まらず、先頭打者の新納真哉(3年)への初球、死球でランナーを出してしまう。さらに次打者の初球に盗塁を決められ、無死二塁とピンチが広がった。次打者をレフトフライに打ち取るも、3番・平藪樹一郎(3年)の強烈な打球が遊撃手のグラブをはじき、センター前へ。この間に俊足の新納が一気にホームへ返り、先制のホームを踏んだ。2回表も三浦の制球が安定せず、先頭打者を四球で出してしまう。このチャンスに神村学園は7番・中園史剛(3年)が送りバントを決め、1死二塁とすると、8番・中野大介(3年)のタイムリーで1点を追加した。さらに4回表、1死二、三塁から9番・二河拓馬(3年)が2点タイムリーを放ち、その差を4点に広げた。

 これで神村学園が試合の主導権を握ったかに思われた。しかし4回裏、石巻工が怒涛の反撃を見せた。先頭の2番・斉藤大晃(3年)が三塁打を放つと、昨日の開会式で堂々の選手宣誓を行なった主将の3番・阿部翔人(3年)は初球をセンターへ弾き返し、同校に甲子園初得点が入った。この後、1死満塁から7番・阿部克輝(3年)のタイムリー、さらには8番・伊勢千寛(2年)の打球を遊撃手がトンネルし、打球が外野に転がる間にランナーが一層し、この回一挙5点を奪い、逆転に成功した。

 だが、その4回に死球を右手に当て、治療でベンチに下がっていたエース三浦が本来のピッチングをすることができずに苦しむ。5回表、2四球で2死満塁とすると、四球押し出しで同点とされてしまう。ここで三浦はファーストに下がり、2番手・阿部剛司(3年)がマウンドに上がった。しかし、内野エラー、さらには阿部剛が暴投を連発するなどして4点を失い、再びリードを奪われた。

 それでも6回以降、落ち着きを取り戻した阿部剛は、危なげないピッチングで神村打線をほぼ完璧に抑えた。一方、神村学園も6回から継投した柿澤貴裕(3年)が毎回奪三振の好投を見せ、石巻工打線を封じた。一時は逆転劇を演じた石巻工だったが、自らのミスでの失点が大きく響き、初勝利を挙げることはできなかった。

 12安打の猛攻で快勝
九州学院(熊本)   6 = 410001000
女満別(北海道)   0 = 000000000

 初回、九州学院打線が21世紀枠出場の女満別エースの二階堂誠治(3年)の立ち上がりを攻めた。2四球と内野安打で2死ながら満塁とすると、6番・米井健太(3年)、8番・浅川椋(3年)と2者連続2点タイムリーで一挙4点を奪う。さらに2回表にも、今大会屈指の好打者、3番・萩原英之(3年)にもタイムリーが出て、1点を追加。早くも5点のリードを奪い、試合の主導権を握った。投げては左腕エースの大塚尚仁(3年)が毎回のように三振を奪う好投を見せ、女満別打線につけ入るすきを与えなかった。

 一方、序盤はボールが高く、制球が安定しなかった二階堂も、3回以降は低めにコントロールし、変化球をうまく使ったピッチングがさえわたる。6回表には追加点を許したが、7回表は無死満塁のピンチを無失点に切り抜けると、8回表は2三振を含む三者凡退に切ってとった。エースの好投になんとか応えたい女満別打線だったが、九州学院の大塚をとらえることができない。6、7回は7球、8回は10球で仕留められ、反撃の糸口をつかむことができなかった。

 そして迎えた最終回、女満別は先頭の3番・近藤塁(3年)が外角高めの直球をセンター前へきれいに弾き返し、反撃ののろしを上げた。しかし、4番・芳野順哉(3年)がライトフライに倒れ、さらに飛び出した近藤も帰塁することができずに2死無走者となってしまう。最後は5番・菅原賢人(3年)が見逃し三振に倒れてゲームセット。投げてはエース大塚が6安打10奪三振で完封勝ちを収め、打っては12安打6得点と、投打に圧倒した九州学院が快勝した。

 好守・好走で初出場初勝利
健大高崎(群馬)   9 = 010001304
天理(奈良)      3 = 000020001

 先制したのは春初出場の健大高崎だった。2回表、先頭の4番・内田遼汰(3年)がヒットで出塁すると、盗塁を決め、得点のチャンスをつかむ。さらに5番・大澤攻行(3年)がヒットで続き、無死一、三塁とした。6番・神戸和貴(3年)は併殺打に倒れるも、この間に内田が生還し、健大高崎に先取点が入った。

 5回裏、天理が反撃する。先頭の7番・古田塁(2年)がヒットで出塁すると、8番・山本竜也(3年)は死球、9番・山岸大起(2年)は送りバントを試みるも相手エラーで自らもセーフとなり、無死満塁とした。ここで1番・東原匡志(2年)がスクイズを決め、同点とする。なおも1死二、三塁から2番・綿世優矢(3年)のタイムリーで1点を追加し、天理が逆転に成功した。

 しかし、健大高崎も6回表、1死二塁から内田のタイムリーで1点を挙げ、すぐさま同点に追いついた。さらに7回表には無死一塁から8番・秋山浩佑(3年)が二塁打を放つと、一塁ランナー小林良太郎(3年)が好走塁を見せて一気にホームへ返り、再び1点をリードした。続く9番・三木啓太(3年)の犠打でランナーを三塁に進めると、暴投の間に生還する。さらに1点を加えた健大高崎は、この回3点を奪い、再び試合の流れを引き寄せた。

 追いつきたい天理は7、8回とランナーを出すも、いずれも併殺でチャンスをつぶしてしまう。逆に健大高崎は9回表にも好打、好走塁を存分に発揮し、一挙4点を追加し、リードを7点に広げた。その裏、天理は先頭の4番・吉村昴祐(3年)が三塁打を放ち、続く代打・関屋亮(3年)の犠牲フライの間に1点を返した。しかし、反撃もここまでだった。代打・稲別晶(3年)はショートフライに、そしてこの試合2安打を放った古田は三ゴロに倒れた。持ち味の足をからめた攻撃で確実にチャンスをモノにした健大高崎は、春夏通じて初出場した昨夏に続いて、春初出場ながら初戦突破を果たした。