第605回 捕手株上昇で、カープ優勝争いに乱入!
「今季はキャッチングのいい捕手のいるチームが優勝するんじゃないかな」
そう語ったのは前中日チーフバッテリーコーチの達川光男である。
達川は広島時代、キャッチャーとしてベストナインとゴールデングラブ賞に3度ずつ輝いている。
達川のキャッチングの師匠は江夏豊である。ルーキー時代、こう命じられた。
「キャッチングが悪いと、どうにもならん。オマエ、1カ月で10万球受けてこい」
10万球とはべらぼうだ。
「当時はブルペンキャッチャーいうても、ひとりしかいないから、僕がずっと捕る。ひとり70球~80球として、1千球ほど1日で捕りました。それだけで月に3万球。でも、まだ足りない。残りの7万球はマシンですよ。練習が終わっても、ずっと捕り続けていました」
以前にも書いたが、今季のプロ野球は新ルールにより、クロスプレーの際、捕手は本塁前でランナーをブロックすることができなくなった。
これまでなら、少々キャッチングが下手でも、本塁前にドカッと腰をおろすことで生還を阻めたが、もうその手は使えない。
内外野からのバックホームを俊敏に、しかも正確に処理できる捕手のいるチームが有利になる、というのが達川の見立てだ。
では誰がナンバーワンか。
「僕は広島の石原慶幸じゃと思うね。炭谷銀仁朗(埼玉西武)も中村悠平(東京ヤクルト)も嶋基宏(東北楽天)もうまいけど、石原はその上をいっとるね。彼らの評価がAなら、石原は特Aじゃろう」
石原の捕球技術の技量については、侍ジャパンのコーチ時代の伊東勤(現千葉ロッテ監督)も、こう言って舌を巻いていた。
「キャッチング、スローイング、ワンバウンドを止める技術。どれをとっても日本じゃ石原がトップでしょう」
昨季までのエース前田健太がドジャースに移籍したことで評価の低い広島だが、ひょっとするとひょっとするかもしれない。
<この原稿は『週刊大衆』2016年4月4日号に掲載された原稿を一部再構成したものです>
